皆さま

 

先日はこの炎天下の中、

 

葛飾区にある水元公園に行ってきました。

 

こんなに大きな公園が23区内にあるのと

 

驚くとともに、緑と水が多く癒されてまいりました。

 

お食事処などもあるので、おすすめです。

 

では「道端で起きている幸せを綴る物語」の

第26作目を書いていきたいと思います。

 

「お祭りではぐれてしまった多香子さんが道案内をしてもらった物語」

 

多香子さんは20歳代の大学に通う女性です。

 

今日は大学の友人たちとお祭りにやってきました。

 

多香子さんにはみんなに言えない秘密があります。

 

それはなぜだかわからないけど、「不安」な気持ちが

 

胸の奥から湧きあがってきて苦しくなるのです。

 

多香子さんはその「不安」がやってこないように、

 

様々なことを試しました。

 

食事に気を付けたり、早寝早起きしたり、ヨガをやってみたり、

 

深呼吸をしたり、それでも大きな変化はありません。

 

みんなで出かける時もそれが心配で仕方がありませんでした。

 

今日もお祭りに行く前に、「不安が出ませんように」とお願いしてから

 

家を出ます。

 

お祭りの会場はすごい人で賑わっていました。

 

そこで、もしはぐれたらこの神社に集まることにしようと

 

みんなで集合場所を決めておいたのです。

 

多香子さんは少しホッとしました。

 

多香子さんは「不安」を抱えながら、

 

お祭り会場を歩きます。

 

「きっと私ははぐれてしまうのではないか」と

 

どこか「不安」に感じながら参加していました。

 

すると、多香子さんは近くに泣いている子どもがいることに

 

気が付きます。

 

多香子さんはその子どもに話しかけます。

 

その間に多香子さんは友人たちとはぐれてしまいました。

 

泣いている子ども、はぐれてしまった自分、

 

多香子さんはとても「不安」になってきました。

 

「私がしっかりしなくては」

 

「きっとこの不安は気のせい」と

 

「不安」を振り払おうとしましたが、

 

そうはいきませんでした。

 

多香子さんは泣いている子どもの

 

手を握りながら「不安」に耐えられず

 

膝をついてしまいます。

 

多香子さんはしばらくの間、目を閉じて

 

意識と無意識の間をいったりきたり

 

しているような感覚で「不安」を

 

感じていました。

 

周囲の音も多香子さんには入ってきていないようです。

 

しばらくすると、多香子さんは周囲の音を認識できるように

 

なっていました。

 

子どもの泣き声がやんでいたのことに気が付きます。

 

「大丈夫ですか?」と優しい声が聞こえました。

 

多香子さんはゆっくりと目を開けてみます。

 

目の前には泣いていた子どもと

 

そのお母さんらしき女性がいました。

 

多香子さんはなぜだか「お母さん」と

 

心の中で感じて、胸の中に自分のお母さんの姿が

 

浮かんできていることに気が付きます。

 

泣いていた子どものお母さんは、

 

多香子さんに手を差し延べて、

 

立たせてくれました。

 

そうして、子どもの手を握っていてくれたことを

 

感謝されたのです。

 

「誰かと一緒だったのでは?」と多香子さんは聞かれます。

 

多香子さんははぐれたことを認識し直しました。

 

そして、集合場所が神社だったことを思い出します。

 

「神社はどちらでしょうか?」

 

泣いていた子どものお母さんは多香子さんに神社の場所を

 

教えてくれました。

 

泣いていた子どもとそのお母さんは笑顔で

 

多香子さんを見送ってくれます。

 

多香子さんはお礼を言って、神社を目指して

 

歩き始めます。

 

多香子さんはその時、「不安」が去った後で

 

少し頭がボーっとしている状態でした。

 

その後に胸の中にお母さんが現れたことを思い出しています。

 

すると多香子さんの胸の中に1つの思い出が

 

じんわりと姿を現しました。

 

それは多香子さんが小学校3年生の時です。

 

多香子さんが住んでいた地域は自然溢れる土地でした。

 

多香子さんはいつものように裏山のようなところで、

 

友達と遊んでいたのです。

 

裏山には沢山の木の実がなどがなっていて、

 

多香子さんはそれをおなかいっぱい食べてしまいました。

 

その後、家に帰ると気持ちが悪くなり

 

お母さんに病院に連れて行ってもらい、

 

食中毒のような症状になっていて

 

そのまま点滴をすることになったのです。

 

点滴が始まって、数分後

 

お母さんは立ち上がって

 

「また終わるころに来るからね」と言って

 

病室から出て行きました。

 

お母さんが廊下を走る音が聞こえます。

 

多香子さんはとても不安な気持ちになります。

 

「お母さん、ずっと一緒にいてよ」

 

「お母さん、独りにしないでよ」

 

「お母さん、私つらいんだよ」

 

「お母さん、寂しいよ」

 

「お母さん、怖いよー」

 

多香子さんの胸の中には沢山の「不安」な

 

気持ちが湧きあがってきていたのです。

 

多香子さんはそれを言葉にしまいと

 

病院のベッドの布団にくるまって、

 

じっと我慢しました。

 

この点滴が早く終わらないかと

 

多香子さんは「不安」に押しつぶされそうに

 

なりながら願っています。

 

多香子さんはその思い出が今更出てきたことに

 

「不安」もあるけど、不思議な気持ちになっていました。

 

それでも、その思い出の続きを思い出してみたのです。

 

点滴が終わるころにお母さんは廊下を走りながら

 

戻ってきたのです。

 

そう、家にはまだ小さな弟がいたのです。

 

そしてお母さんはお父さんとも離婚をしています。

 

小さな弟の世話をしに家に帰っていただけだったのです。

 

本当は多香子さんの横にずっといたかったと

 

お母さんは思っていました。

 

でも、自分が離婚をしたことで子どもたちに

 

寂しい思いをさせていたことをお母さんは

 

いつも悔いていたのです。

 

多香子さんはそれを考えているうちに

 

自分にどうして「不安」という感情が

 

押し寄せてくるのか理解しかけていました。

 

さっきも友人たちとはぐれたことで、

 

もしかしたら小さい頃、病院でおいてけぼりに

 

なったあの「不安」な気持ちが

 

「おーい、おーい気が付いてよ」と

 

言っていただけなのかなあと多香子さんは

 

腑に落ち始めています。

 

そうこうしているうちに神社に無事に着いて

 

友人たちと再会することができたのです。

 

多香子さんは帰ったらお母さんに電話してみようと

 

思いました。

 

多香子さんは今日泣いていた子ども、

 

道案内してくれたそのお母さんとの

 

出会いという偶然に感謝しました。

 

それ以来多香子さんの「不安」な

 

気持ちはずいぶんとおさまったようです。

 

【終わり】

 

皆さまいかがでしたでしょうか。

 

多香子さんは長年悩んでいた

 

自分に湧きあがる「不安」について

 

偶然の出会いをきっかけに理解することが

 

できたようです。

 

意外と道端には良い人もいますし、幸せを

見つけることができるものなんですね。

 

現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が

このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる

きっかけになったら嬉しく思っています。

世の中には親切な人は意外といます。

そんな願いを込めて書いています。

 

何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。

 

皆さまよろしくお願いいたします。