皆さま
都内はここのところずっと涼しかったですが、
久しぶりに暑くなってきましたね。
我が家もエアコンを再び使い始めました。
では「道端で起きている幸せを綴る物語」の
第3作目を書いていきたいと思います。
「ちょっと有名人が道案内をしてもらった物語」
こちらの女性、年齢は60歳くらいでしょうか。
実はテレビにも出演しているちょっとした有名人です。
有名人だからと言って、移動はタクシーや車だけではありません。
電車も使って移動している人もいるようです。
ここはどうやら東京にある「秋葉原駅」のようです。
様々な路線が乗り入れている東京でも少し大きな駅です。
有名人の女性は「秋葉原駅」まで来たものの
乗り換える路線がわからないようで、路線図と睨めっこをしていました。
有名人の女性は内心で「自分がちょっとした有名人」であることを自覚していました。
「こんな私が道に迷って人に聞くのはなんだか恥ずかしい」そんな思いがあったようです。
有名人の女性が自力で探すのを諦めて駅員さんを探そうと歩き始めた途端でした。
目の前から男性が歩いてきました。有名人の女性より30センチくらい背が高く思わず見上げてしまいました。
男性は30歳くらいでしょうか。有名人の女性はなぜだかその男性の人柄の良さを感じました。
「すみません、横浜駅に行きたいんですがどの電車に乗ったらいいでしょうか?」
それは有名人の女性にとって初めて人に道を聞いた経験でした。
男性はその道を聞いた女性が有名人だとわかったのかは定かでありませんが、
驚いた様子もなく自然と答えていました。
「横浜駅ですか。あ、京浜東北線ですね。なら僕と同じ乗り場だから一緒に行きましょう」
「あ、あらいいんですか。お願いします」
この時有名人の女性は、大体有名人ではない人たちと話すとあれこれ言われて困ると思っていました。
でも、なぜだか有名人の女性が声をかけたこの男性は特に特別扱いもしませんでした。
それが、有名人の女性にとっては新鮮でしたし、なんだか嬉しかったのです。
有名人の女性と男性は一緒に歩き始めました。
しかし、有名人の女性には世間の人たちに隠していることがありました。
そんなに驚くことでは決してありませんが、膝が悪いのです。
いよいよ、階段を下りる場面で有名人の女性は普通には歩けなくなりました。
でも、有名人の女性はこの親切な男性なら大丈夫と信じるようになっています。
「私、ちょっと膝が悪いもので」と言いながら手すりに捕まりながらゆっくりと階段を下りはじめました。
「そうでしたか、無理せずゆっくり下りてくださいね」男性は優しく有名人の女性に声をかけます。
ゆっくりと階段を下りる女性と同じペースで男性も下りて行きます。
その姿は、二人がまさか初対面だとは誰も思わないような、不思議な雰囲気が醸し出されていました。
有名人の女性はその久々に味わう家族のような温かい雰囲気を堪能しているようでした。
そして有名人の女性と男性はほぼ同時に階段を下り終えました。
「では、私は逆方向なので」と言って、ちょうど来ていた電車に男性は乗り込みました。
「僕と逆側の電車に乗れば横浜駅に行けますから」最後まで親切に男性は教えてくれています。
有名人の女性は大したお礼も言えずに、別れてしまうことを残念に思っていました。
「ありがとうね」大きな声で有名人の女性は男性にお礼の気持ちを伝えます。
有名人の女性はそれまでは有名人ではない一般の人たちをどこかで恐れていました。
でも、このような素敵な体験をしたことでそれは思い込みだったと気が付いたようです。
この有名人の女性はなぜだかわかりませんが、ますます活躍をするようになりました。
そして、膝が痛いことをテレビの前でも公にするようになっていたのです。
それは決して悲しい雰囲気ではありませんでした。
有名人の女性は自分らしさを思い出したのかもしれません。
【終わり】
皆さまいかがでしたでしょうか。
自分が有名人だったとしたら、中々人に道を聞くのは
勇気がいることは想像できるのではないでしょうか。
この有名人の女性も自力で探すのを諦めた途端に
親切な男性に出会うことができました。
諦めた時に何か変化というものは起きやすいのかもしれませんね。
この有名人の女性も偶然に感謝しているのではないでしょうか。
その後の活動の変化にも驚くばかりです。
きっとこの親切な男性との出会いが影響したと考えても良さそうですね。
意外と道端には良い人もいますし、幸せを
見つけることができるものなんですね。
現在、不自由や不安を感じる人生を送っている人が
このブログを読んで少しでも新たな一歩を踏み出してくれる
きっかけになったら嬉しく思っています。
世の中には親切な人は意外といます。
そんな願いを込めて書いています。
何か生きる上でのヒントになりましたら幸いです。
皆さまよろしくお願いいたします。