05-水蒸気圧縮の壁-4 まとめ | 【自然冷媒 「水」 のエアコンを創る】

【自然冷媒 「水」 のエアコンを創る】

ヤフーブログからの引っ越しです。当面は過去投稿記事保存が目的です。

2007/9/27初版、2009/2/9修正04
前回までは、水蒸気を圧縮するための代表的な方式として「ピストン式」と「ターボ式」について解説しました。そしてそのどちらもが、それぞれに不具合があり「効果」はあっても「効率」は非常に悪い事を解説し、唯一「水」を冷媒として実用化されている吸収式冷凍機も、   フロン系冷凍機と比べると「効率」「運用面」で問題があると書きました。
 ここでは今一度「ピストン式」と「ターボ式」の問題点をまとめてみました。
         その前に、まず「水エアコン」の簡単な原理は?
    下の図のような二つの密閉された容器「凝縮器」と「蒸発器」を二つのパイプでつなぎ、上の太い
    パイプの途中には「水蒸気圧縮機」を配置して、中に「水だけ」を入れます。

    後は、右側の「蒸発器」で蒸発した水蒸気を、「水蒸気圧縮機」によって左側の「凝縮器」
    に送り込めることが出来れば温度差を作ることができるので、
  現在どこの家庭にもある「フロン」エアコンの代わりに、「水エアコン」が完成します。
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ところが!この簡単そうに見える水蒸気の送り込みが出来ないのです!!

              ピストンで送り出す方式は?
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高い圧縮力が得られても、送り出す量が少なすぎて、水蒸気の量が足りません。往復運動するだけで流れにロスがあるし機械強度、流体の流れの追随性や、中でも「乱流」の発生が 致命的で、スクリュー、ルーツ、スクロール式など、流れが「断続的」になる「容積式」(ピストン式を含む)は大気圧以下の低圧では「乱流の発生」が避けられません。

               ターボで送り出す方式は?
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インペラが分子を叩いている様な流れで、乱流が発生して送り出すことが出来ません。   計算上の流量は十分ですが、原理的に負圧部分の吸引効果を利用しているので、羽根から加速力を得ているわけでは無く分子の平均速度を増やせません。
    上記の二つの方式を組み合わせたり、冷却サイクルを複雑にしても
              【05-水蒸気圧縮の壁-2 タ-ボ式】に書いたように
         水蒸気を効率よく送り込むことは出来ません。


「気体を圧縮する」とは、以前の状態よりも「気体の分子密度を増やす」ことは
  【04-水蒸気の性質-2 温度と密度】 【04-水蒸気の性質-3 水蒸気の圧縮】で解説しました。
    これを分子運動面からピストン式とターボ式の方式を比べてみると
イメージ 4ピストン式(容積式)では全体の体積を小さくすることで中の分子の密度を高くします。
ここでの要点は              「体積を縮めて」密度を高くするのと、 各分子の平均速度が増加していることです。


イメージ 5ターボ式では全体の容積はそのままで、分子を押し込むことによって密度を高くしようとします。
そのためには押し込まれる側の分子よりも速度が速くなければ押し返されてしまうので、
【気体分子運動13 静圧と動圧】で解説した「動圧」で、  加速する必要があります。
図では分子単体のように表現していますが、「静圧を持った分子の塊」という意味合いも含むので、流れの概念イメージとして単純に見て下さい。
静圧を持っている分子の塊を、「動圧」で押し込めることによって、その「動圧」の速度が「静圧」に変換される、つまり
「分子の密度と平均速度を増加させる」のはピストン式と同じで、それを       「加速した分子」により実現させるのです。

ピストン式では「乱流」が発生してしまい効率よく送り込むことが出来ません。  ところが、ピストン式では大量の水蒸気を送れず原理的に不可能でも、ターボ式では容量的に満足できるので可能性があります。
しかし、このターボ式インペラの不具合点
  * 流れがインペラ内で直角に偏向する。
  * 分子の加速距離が短いので急激な速度変化になる。
  * インペラ形状が乱流を発生させる。
  * 現代のターボインペラの「翼形状」では動圧加速できない。
などの大きな問題点があります。
この問題点を克服して、乱流の発生が無く流路抵抗も無くスムースに分子を加速することが出来ることが「水蒸気圧縮」のキーポイントになります。


この「水蒸気圧縮の壁」項目では「水の蒸発凝縮作用」を利用する方法として、大別してピストン・ルーツ・スクロール・スクリュー式を含む「容積式」と、軸流・遠心式を含む「ターボ式」と、「吸収式」について解説してきました。(水冷媒以外にも「ペルチェ効果」や「放射冷却」を使った冷却方法もあります。)
しかしいずれの場合も問題点として「フロン冷凍機よりもはるかに効率が落ちる」と言うことが、水冷媒が普及しない最大の理由になっています。「水蒸気圧縮」の研究は上記のような方法でもう100年近く研究されているのも関わらず、未だ決定的に効率の良い方法は見つかっていないのです。


     それを可能にするのは、「新ターボインペラ」でしかないのです。











この自然冷媒である「水冷媒」を使った「水エアコン」、または新開発の「ターボインペラ」に   関しての、お問い合せ、ご意見、共同開発、技術提携などがありましたら           info@pid.co.jp またはchallengeyu@yahoo.co.jp までお願いします。
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この記事は以前に投稿した【水エアコン解説 】書庫の中の記事を、順次内容を修正、加筆して「仕上げ」ながら再投稿しています。前回分のこの記事には暖かい励ましやご意見のコメントを頂きありがとうございました。 今後とも宜しくお願いします。m<(_ _)>m


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