2008/6/3初版2008/10/20修正02
図1

図2

図3(絶対視)

図4(絶対視)

図5

図6(相対視)

図7

前回は、回転流の軌道を分子が加速してゆく「周回方向の動き」について書きましたが、その軌道の中を流れる分子の |
「軸方向の動き」の変化はどうなるのでしょうか? |
この球面上を移動する動きは「コリオリの力」を十分理解しておくことが必要で、ご存知の方も多いと思いますが「コリオリの力」から考えてゆきます。 |

北半球で台風の発生を見ると、黄色の矢線のように赤道辺りと緯度の高い位置で地球の周回速度に差があり、広大な範囲の水蒸気の発生が「緯度の差で地球の周回速度が違う」状況になると「渦」(台風)が発生します。 北に進む場合も「コリオリの力」によって、「左」 回転しながら「右」にそれてゆきます。 日常生活程度の緯度の差では地球の周回速度の差は無いに等しいので「コリオリの力」の影響はありません。あくまで「地球規模」での話になります。 |
図2

南半球では回転する地球の表面を北へ移動する場合には、図の黄色い玉のように進んでいるようで、 | |
実際は緑の玉のようにそれてゆきます。 | |
注:この図の回転体と玉の位置関係に相互関係は無いので別物としてみてください。 単純に回転体が右回りならば、玉は左にそれるのだと思っていただければ。(^_^;) |
図3(絶対視)

図2の南半球の「コリオリの力」の作用は、同じように円周径が変化してゆく「台風」を地上から横向きに見た時の気体の流れにも当てはまることが解ります。 つまり、「台風」には宇宙から見て「地球表面」の移動に働く「コリオリの力」と、地上で真横から見た「上下方向(軸方向の動き)」に働く「コリオリの力」の2種類が「作用」しているのです。 (図3の回転矢印は図1の台風と同じ回転方向で、下方向から見て右回転で見てください) |
図4(絶対視)

一般的には「コリオリの力」は「地球の自転」で 働くことが解説されていますが、原理を理解すれば全ての回転曲面上にもこの「作用」が当てはまることが分かります。 ここで説明する「軸方向の動き」に働く「コリオリの力の作用」とは、赤球と同じ回転数で人の目も回転する「相対視」で見た時の、赤球が図の下から上に向かってどのような動きをするか? と言うことになります。 |
( 図は、下方向から見て右回転で見て下さい。) |
図5

ここで、図の様に任意の赤球の動きを追ってみると、開始点から一周した時には赤球の位置は左にずれて見える事が解ります。 これは上方へ進んでゆくときに回転直径も大きくなってゆくので元の位置から見ると、周回距離が長くなっているためで、同じ位置から出発しても相対位置がずれる事が解ります。 このことは渦を巻いて回転しながら外周径が大きくなってゆく「台風」や「竜巻」などの気体の流れにも同じような現象がおきます。 |
図6(相対視)

視覚的にはこういう風に見えるため、人には一種の「錯覚」となります。(相対視) | |
「コリオリの力」は「地球の自転」の「力」ではなくて「回転径の差によって相対位置がずれる」という「作用」なのです。 | |
「てこ」や「滑車」の原理と同じく、単なる 「作用」なのです。 |
図7

これを前回の【06-動圧加速する条件-3通過流路】の軌道に当てはめ、特定エリアの動きとして相対視してみると左図のようになります。 |
図8


分子の動きとしてみると複雑ですが、図7とともに比べ合わせて見ると、下から上に向かって |
一定の経路 |
を、通過してゆくことが判ります。 |
図9


この相対視で見たときの流れは、 |
一体何を意味するのでしょうか? |
図10(相対視)


この相対視で、流れてゆく「特定エリア」を連続してつなげてゆくと図10の様な軌道を描くことが出来ます。これは |
相対視 |
した時の「特定エリア」の軌道です。 |
図11(絶対視)


図11は、 |
絶対視 |
した時の「特定エリア」の軌道です。 |
これは単に、一つの動きを別条件で見ているだけですが、 |
図11の「絶対視」で見る分子の動きと 図10の「相対視」で見る分子の動きは「同じ」であり、 |
同じ流れでも2種類の軌道を描くことが出来る!! |
と言うことなのです。この概念を理解することは、「難解」なことかも知れませんが |
これが、新インペラの形状の解析の基本となる「仮想流」の概念なのです。 |
この記事は以前に投稿した【水エアコン解説 】書庫の記事を、順次内容を修正、加筆して「仕上げ」ながら再投稿しています。前回分の記事には暖かい励ましやご意見のコメントを頂きありがとうございました。 |