DX(デジタルトランスフォーメーション)は推進すべきものですが、一方で急激に進めるとコストが膨らみ、現場が混乱して生産性を著しく低下させることもあります。今回は、その失敗例と、実際に成果につながる進め方について考えてみます。

1.中小企業に合わない“背伸びDX”の失敗例

皆さんはERP(Enterprise Resource Planning/統合基幹システム)をご存じでしょうか。会計や在庫管理などを統合する大型システムで、企業向けにカスタマイズされるため導入費用は数千万円にのぼることもあります。

ところが、高額なERPを導入したものの、社員が操作を理解できず、結局エクセルや紙に逆戻りするケースは少なくありません。結果として資金繰りを圧迫し、システムが“置物”になってしまう。こうした背伸びDXは、中小企業にとって大きなリスクとなります。

2.DXは小さな成功体験の積み重ねから

DXは大規模システムを入れることが目的ではありません。まずは身近な業務から改善を始めるのが得策です。

例えば、今でも日報を手書きしている企業があります。これをスマホやPCで入力できるフォーマットに変え、クラウドで共有するだけでも立派なDXです。こうした 小さな便利の積み重ね が、社員のITリテラシーを自然に高め、やがて本格的なシステム導入に耐えられる組織をつくります。

3.経営者がDXを自分ごと化する

よくある失敗が、経営者が「デジタル化を進めるぞ!」と意気込みだけで高額機器を購入し、結局オフィスの片隅で使われずに放置されるケースです。

DXは“導入したこと”ではなく、生産性を上げることが目的です。経営者自身が現場を理解し、自分ごととして判断することが不可欠です。その際には、現場社員の意見を傾聴し、実際の業務に沿った形で進めることが成功のカギとなります。

 

DX推進のイメージ図:人々が地球儀やアイコンを繋ぐ

まとめ

DXは「高度なシステムを導入すること」ではなく、便利を積み重ねて成果につなげることです。

  • 背伸びした導入は失敗のもと

  • 小さな成功体験を重ねることが重要

  • 経営者自身が自分ごととして取り組むこと

この3点を意識すれば、DXは企業の強みを高める確かな手段となります。

 

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