「許せない人」をどう受け止めるか──エリザベス女王の苦悩から学んだこと


皆さんは、日常生活の中で「この人だけはどうしても許せない…」という相手に出会ったことはありますか?

私は正直、短気なところがあるので、その場では怒りが湧くこともあります。

でも“深く憎んで許せない”と感じるほどの人は、実はほとんどいません。むしろ、皆無に近いかもしれません。


これは私の性格が良いという話ではなく、たぶん単純だからだと思います(笑)

一方で、頭の良い人や記憶力の良い人ほど、過去の出来事を鮮明に覚えていて、深い怒りを抱えやすい傾向があるようです。

実際、私の家族でもそういうタイプがいて、過去への執着を強く持っている人もいます。


そんな中で、最近観ていたNetflixのドラマ『ザ・クラウン』のエピソードに、強く心を揺さぶられました。

これはエリザベス2世の人生を描いた作品で、その中で「許すとは何か」が深く描かれていたのです。


エリザベス女王はイギリス国教会の首長、つまり“神に最も近い存在”とされる立場にあります。

キリスト教では「他者を許すこと」が非常に大切な教えとされています。


しかし、女王がどうしても許せない相手がいました。

それは、父の兄であり元国王であるエドワード8世(退位後はウィンザー公)です。


彼は王位を愛のために捨て、エリザベス女王の父が急遽国王に。

その後も王室に迷惑をかけ続け、最後にはナチス・ドイツと手を組み、イギリスに空爆を仕掛ければ和平交渉に応じるとヒトラーに助言していたという文書まで出てきました。

祖国を敵に売った人間が再び公務に戻りたいと申し出たとき、女王は苦悩の末「二度とイギリスの土を踏ませない」と決断します。


その後、彼女はアメリカの著名な神父に問います。

「人は誰しも許すべきなのでしょうか?」と。


最初、神父は「神はすべてを許す。だから首長であるあなたもそうすべき」と答えます。

しかし続けてこう言いました。

「でも、どうしても許せないことがあるなら、"許せない自分を許しなさい”。」

この言葉が、私の胸に深く刺さりました。

「許せない」という気持ちに苦しむ自分を、そのまま受け入れてあげる。

そうすることで、心の奥底に残っていた怒りや執着から解放されるというのです。


宗教や信条の違いから争いや戦争が起きてしまうのも、突き詰めれば“許せない”が原因です。

でも、それを「他者」ではなく「自分自身の心」と向き合うことから変えていけるとしたら……。


最後は少し長くなりましたが、許しとは、「他人のため」というより「自分を解放するための行為」なのかもしれませんね。


今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。