最近は「好景気」と言われ、日経平均も3万円台後半と、メディアでは明るいニュースが目立ちます。
しかし、現場レベルでは物価高と人件費高騰の影響で、多くの企業が大きな転換点を迎えています。
たとえば、日産自動車が決算赤字に転落し、2万人の人員削減を発表。
私は日産のセレナに乗っているので、他人事ではありません。販売店の方々は頑張っているのを知っているので、心苦しい思いです。
また、パナソニックも黒字ながら1万人規模のリストラを実施予定との報道もあり、非常に気になります。
最近は「人件費削減」や「生産性向上」という言葉がコンサルタントや経営者の間で飛び交っていますが、果たしてその意味を本当に理解している方はどれほどいるのでしょうか?
■ 人件費削減とは「解雇」ではない
人件費削減というと、真っ先に「給料カット」や「リストラ」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、それは短絡的な発想です。今いる従業員を解雇してしまえば、再び人材が必要になったときには採用がさらに困難になるでしょう。
重要なのは効率的な給与配分です。
たとえば、65歳以上の方が週3日勤務にも関わらず正社員時代と同じ給与であれば、嘱託契約に切り替えるなど工夫する余地があります。
また、若手を無闇に大量採用するのではなく、育つ人材を見極めて選抜することも人件費の最適化につながります。
今いる社員については、「育てる」という視点を持ち、スキルアップのための研修などに投資することが大切です。
■ 生産性向上は「人を減らす」ことではない
生産性向上というと、「工場閉鎖」や「人員削減」といった発想が先に立ちますが、本質はそこではありません。
本来の生産性向上とは、設備投資を通じたデジタル化・省人化の推進です。
最新の生産機器を導入することで、より少ない人数で効率的な生産体制を構築できます。
日産のケースを見ても、おそらくシステム面のデジタル化はある程度できていたものの、それに対応できる人材育成ができていなかったのではないかと推測しています。
結果として、実態に即した生産計画や投資判断ができなかった。
つまり、経営陣の判断ミスが招いた結果です。
しかも、当初9,000人の削減が、結果的に2万人へと拡大。
仮に1人に家族3人がいたとすれば、実に6万人の生活が影響を受けることになります。
経営責任を取って「辞任」すれば済む問題ではないと、私は感じています。
長くなってしまいそうなので、今日はこの辺で。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。