“想い”だけでは、勝てない場所がある。〜角地の店舗に見る経営の落とし穴〜


うちの近所にある、いわゆる「角地」の土地。

ここ10年の間に、なんと6回も店舗が変わっています。


最初は中華料理屋、次に整体院。

その後も、お好み焼き屋、たい焼き屋、韓国料理屋…

そして、今はまた別の飲食店が営業しています。


近所の方の間では、

「土地が悪いんじゃない?」

「なんか“運気”が悪い場所っぽいよね」

なんて、ちょっとスピリチュアル寄りな噂もチラホラ。


でも私は、そこまでオカルトな話ではないと思っています。


というのも――

どのお店にも共通していたのは、「ここにしかない理由」が見えなかったという点なんです。

駅からは徒歩12分。立地が特別良いわけでもありません。

それならなおさら、「わざわざ行く理由」が必要になる。


たとえば整体。

この周辺1km以内だけでも6軒はあります。

その中で“選ばれる理由”が無ければ、リピートはまず難しい。


料理屋も同様です。

どこにでもあるメニューを、どこにでもある味で提供しても、わざわざ来てもらえない時代です。


最近の創業支援の現場でも感じますが、

「想い」だけでは、お店は生き残れないのです。


もちろん、創業時の情熱や信念はとても大切。

でも、それにプラスして必要なのは「具体的な設計」と「差別化戦略」。


戦略がないと、いつの間にか「誰か来てくれないかな…」という受け身経営になり、

あっという間に売上も利益も立ち行かなくなるのです。


私なら、もしあの整体院を引き継ぐとしたらこうします:


・「カッサ×ぎっくり腰改善」のように、明確な専門性を打ち出す

・SNSやチラシで、ストーリーと症例をビジュアル化して訴求

・来院ハードルを下げるために、近隣駐車場の確保やタクシー代補助

・外部研修や資格取得支援を通じて、技術の裏付けを強化

・そして、5年後にどれだけキャッシュが残るかという財務戦略まで描く


ここまでやって、ようやく「勝ち筋」が見えてくるのです。


今、新しくできた飲食店も、外でチラシを配っているだけ。

少し心配ですが、ぜひ踏ん張っていただきたいと願っています。


そして思うのです。

これからの時代は、オウンドメディアの活用も必須。

SNSやブログ、YouTubeなどで「誰が、どんな想いで、どんな価値を提供しているのか?」を発信する。


その上で、5年後の理想の姿を明確に描き、逆算して計画を立てる

これが、地域ビジネスでも生き残るための鉄則ではないでしょうか。



「想い」×「戦略」=継続できるビジネス。


そんな当たり前だけど見落とされがちなことを、改めて考えさせられた角地の話でした。