組織を次の段階へアップデートする際には、変化を一気に押し付けるのではなく、「移行期間」を設けることがとても重要です。
例えば、個人事業主として従業員を雇っていた時期には、経費の扱いが比較的自由で、各自の判断で処理できていたとします。そこから法人化した際、急に「事前申請による承認制」をルール化したとしましょう。このとき、多くの組織では、従来のやり方を無意識に続けてしまう従業員が出てきます。
そこで、いきなり厳しく取り締まると、現場にはわだかまりが残り、組織内の信頼関係が崩れることも少なくありません。中には「従来型のやり方をした=悪」としてレッテルを貼る組織もありますが、これは風土改革の際には逆効果です。
やはり、一定の猶予期間を設けて「徐々に」新ルールへ慣れてもらうことが、組織としての一体感やまとまりを育むうえで欠かせません。実際に、規則を厳格にしすぎたことで離職につながってしまったケースも見てきました。風土改革には、「心の余裕」を持たせる移行期間が必要不可欠です。
ただし、全てに猶予を与えるべきではありません。たとえば、セクシャルハラスメントなどのコンプライアンス違反に関しては、即時の対応が求められます。厳罰化したのであれば、即実行しなければ、企業としての信頼を大きく損なうことになりかねません。
このように、組織変革には「運用に関わる変革は猶予を設けて段階的に」、「コンプライアンスに関わる変革は即時に」というように、目的に応じた対応が求められます。
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