中小企業の約5割が「人件費を上げるのが難しい」と感じており、さらに約2割の企業が「将来的に倒産しか道がない」と考えている――そんな厳しい現状がネットニュースでも取り上げられています。
私も中小企業の支援をしている中で、労務に関する相談を受けることがありますが、やはり給与水準がまだまだ低い企業が多いと実感します。
しかし一方で、決算書を確認すると、経営者としては精一杯人件費を支払っているケースがほとんど。つまり「払いたくても、これ以上はもう無理」な状態です。
では、なぜこんな苦しい状況に陥る企業が多いのでしょうか?
実は、原材料費や光熱費などのコストが高騰しているにもかかわらず、取引先に対して「売価を上げたい」と交渉していない企業が非常に多いのです。力関係を気にしてしまい、交渉の場にすらついていないケースも少なくありません。
その結果、突然の倒産により、取引先が慌てて代わりの業者を探す――そんな事態にもなっています。
人件費を支払いながら利益を出すには、
「売価を上げる」か「コストを下げる」
このどちらかしかありません。
しかし、中小企業がコストを削減するのは非常に難しいもの。だからこそ、売価交渉が重要なのです。
勘違いしてほしくないのは、取引先もあなたの会社が倒産すると困るということ。ですが、先方から「値上げしてもいいですよ」と言ってくれることはほぼありません。
では、どうすればよいのか?
今の経営状況を取引先の決裁権を持つ人に正直に伝え、売価交渉をしてください。
その際、注意すべき点が2つあります。
このあたりは別の記事で詳しく解説しますが、これからの時代、売価交渉は企業が成長・存続していくうえで「必須のスキル」と言えるでしょう。
少し長くなりましたので、今回はここまで。
最後にもう一度お伝えします。
人件費の高騰は、社内の努力だけでは解決できません。
外部との交渉を含めた対応が、企業の未来を左右します。