皆さん、財務諸表を勉強されていますか?
この知識を身につけると、本当に決算書だけで企業の健康状態がわかるようになります。私が新人コンサルタントだった頃、アルバイトで300社以上の企業決算を分析・評価する仕事をしていました。最初のうちは時間がかかりましたが、今では決算書を見れば「どんな企業か」がすぐに読み取れるようになりました。やはり人生、なんでも経験値ですね。
そんな中、過去に支援したある製造業の企業で、驚きのケースがありました。
製造原価に「仕入れ金額」しか入っていない。
そして、人件費・光熱費・その他の間接費はすべて販管費に計上されていたのです。これでは案件ごとの原価が見えず、利益率も把握できません。
「なぜこのような処理をしているのですか?」と社長に尋ねたところ、
「税理士にすべて任せています」との返答。
……これは私にとって一つの問題提起です。
税理士に任せきりというのは、裏を返せば「自分で財務諸表を理解していない」ということ。そして当然、正しい製造原価が把握できない状態では、見積りも感覚頼みになります。
実際、その社長から「見積りのやり方を教えてほしい」と聞かれましたが、内容を見る限り経験値に頼ったもので、体系的なものではありませんでした。これは改善が必要だと判断し、現在は財務諸表の読み方から丁寧に指導している最中です。
以前はかなりの割合で赤字案件を受注してしまっていたようですが、
税理士にも同席してもらい、製造原価の計上方法を見直す方向で調整。
今では、案件ごとの利益率が「なんとなく」ではなく、数字で把握できるようになり、実際に利益率も改善しています。
このようなケースに限らず、「売価を上げないと利益が出ないけど、なかなか上げられない」と悩み、感覚でなんとか黒字化しているつもりの社長には、実はよく出会います。
でも、やはり経営者である以上、財務諸表を読む力は最低限のスキルです。
このスキルがあれば、荒波の経営環境でも判断力と戦略の精度が格段に上がります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも、実例を交えながら“数字に強い経営”を一緒に考えていきましょう。
では、また次回!