事業計画を作成したことはありますか?
事業計画というと、会社経営者や個人事業主が作成するものと思われがちですが、実はサラリーマンの方にも役立つものです。なぜなら、事業計画は「将来計画」とも言い換えられ、自分の人生設計にも応用できるからです。
とはいえ、「いざ作ろう!」と思っても、どこから手をつければいいのかわからない方も多いでしょう。そこで、事業計画の作成にハードルを感じている方におすすめなのが「補助金申請書の作成」です。補助金申請書は、一定のフォーマットに沿って記入する必要があるため、事業計画のフレームワークを学ぶのに最適なんですね。
今回のシリーズでは、コンサルっぽく、補助金申請の書類をベースに、事業計画をどのように作成すればよいかを解説していきます。
補助金と事業計画の関係
現在、さまざまな補助金が存在します。例えば、
- 事業再構築補助金
- ものづくり補助金
- 持続化補助金
- 各都道府県独自の補助金
などがあります。最近では、経済産業省が省力化補助金にも力を入れていますが、こちらは少し特殊な補助金なので、今回の説明では対象外とします。
補助金によって要件は異なりますが、求められる本質的な要素は共通していると私は考えています。そこで、補助金申請の際によく求められる項目を整理してみました。
補助金申請書に必要な主な項目
補助金申請書の構成は、事業計画作成の際にも大いに参考になります。以下のような項目が一般的です。
- 会社概要・事業内容
- 主要サービス
- 会社の強み
- 事業環境
- 市場ニーズ
- SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)
- 新規事業の市場動向と展望
- 競合分析
- 新規事業の具体的な内容
- 事業開始前のスケジュール
- 競合との差別化ポイント
- 既存事業とのシナジー効果
- 新規事業の収益計画(5年間)
これらを詳しく解説すると長くなりますので、数回に分けてお伝えしますね。今回は、「①自社の現状」と「②自社の強み」について、個人のキャリア形成と絡めながら説明していきます。
① 自社の現状(個人の現状)を分析する
(企業の場合)
まず、自社の現状を正しく把握することが重要です。文章やグラフを使って、自社が市場でどのようなポジションにあるのかを明確にしましょう。
「新規事業を考えよう!」と意気込んでも、現状を把握せずに進めると、的外れなビジネスになってしまい、結局何も実現できない…というケースが多いです。まずは、 今の自社の状況を冷静に分析すること をおすすめします。
(個人の場合)
個人の場合も同様です。例えば、サラリーマンの方なら、現在の自分の働き方や市場価値を客観的に分析してみましょう。
- 給料は高いが、自由な時間がなく家族との時間が取れない
- 給料は安いが、今後の成長が期待できる企業で働いている
- 現在のスキルで市場価値はどのくらいあるのか
こうした視点を持つことで、自分のキャリアの方向性が見えてくるはずです。
② 自社の強み(個人の特有スキル)を整理する
(企業の場合)
「自社の強みは何ですか?」と経営者の方に聞くと、意外と答えられないことが多いです(笑)。でも、難しく考える必要はありません。
- 自社が得意とする製品やサービス
- 競合と同じことをやっていても、それを自社が得意なら「強み」と言える
よく「価格が安いのが強みです」と言う企業がありますが、「安価」は基本的に強みではありません。強みとなるのは、例えば「コスト削減の仕組みがある」「製造プロセスの効率化ができている」といった部分です。
実際に私が支援した企業で、社員3名(社長+奥様+従業員)で売上1億円を超える会社がありました。彼らの強みは「ほぼ無人で稼働できる工場の仕組み」でした。社長は「うちは小さな会社だから強みなんてない」と言っていましたが、 少人数でも生産性を最大化できるデジタル化・省力化の仕組み は、まさに強みでした。
(個人の場合)
個人でも「特有スキル」を考えてみましょう。例えば…
- Windowsのソフトを使いこなせる
- 人と話すのが得意
- プレゼンや交渉が得意
- 細かいミスに気づける
- 飲み会の幹事が得意
こうしたスキルは、一見すると普通のことに思えますが、実は立派な強みです。自分の仕事を細分化して整理してみると、 「これ、意外と他の人はできないのでは?」 というスキルが見つかるかもしれません。
ちなみに、私の特有スキルは 「課題設定力」と「顧客との関係構築力」 です。皆さんも、自分のスキルを整理してみると、強みをさらに尖らせるヒントが見つかるかもしれませんよ。
次回予告:「弱み」と「外部環境」について
今回は、「自社の現状(個人の現状)」と「強み(特有スキル)」についてお話ししました。次回は 「弱み」と「外部環境」 について掘り下げていきます。
事業計画作成は、企業だけでなく個人のキャリアプランにも応用できます。しばらくこのテーマでお付き合いくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。それでは、また次回お会いしましょう!