少し刺激的なタイトルになってしまいましたが、ご容赦ください。
企業を支援する中で、経営者の方からこんな言葉をよく耳にします。
- 「取引先が非常に満足してくれていて、利益なんて度外視で貢献してるんだ」
- 「うちはこの業界を広めたいから、薄利でやってるんだけど、すごく感謝されてるんだよね」
確かに、顧客が喜んでくれるのは素晴らしいことです。しかし、ビジネスは利益を出してこそ成り立つもの。理想の形は Win-Win-Win(取引先・自社・仕入先すべてが幸せな状態)ですよね?
「自社は利益が出ていないが、取引先が喜んでいる」 という状況は、
① 取引先が一方的に得をしている
② その業界の構造自体に問題がある
のどちらかであることが多いのです。
特に②のケース、昔ながらの慣習に縛られ、業界が停滞していることが少なくありません。古い体質の元締め的な組織が存在し、業界のルールとして半ば強制的に従わされる。もしそれに逆らおうとすれば、周囲からの圧力がかかる…という話もよく聞きます。
しかし、利益の出ない事業はビジネスではありません。
企業の目的は「永続」すること
企業の本質に立ち返ると、経営者の役割は 「企業を永続させること」 です。企業が存続することで、法人税や消費税などの税収が増え、経済のサイクルに貢献できます。
例えば、小さな町工場の部品が高級車の基幹部品となれば、その価値は大きく高まります。社会問題を解決する企業も、事業を通じて持続可能な形で貢献しています。
そんな中、取引先から 「この部品、もっと安くしてよ」「助けると思って値下げしてくれない?」 なんて言われることは珍しくありません。
さらには、
「経営コンサルタントには中小企業の気持ちなんてわからない。うちは取引先の言うことを聞くしかないんだよ」
といった声も…。
たしかに、価格交渉は難しい場面が多いでしょう。しかし、ここで大切なのは 「ビジネスの原則」と「企業の永続性」 に立ち返ることです。
取引先がWin、自社がLoseの関係は長続きしません。
これこそが、日本企業に根付く「悪しき習慣」の一つです。
値下げ要求にどう対応すべきか?
この問題は大手メーカーでも見られます。例えば、海外メーカーから 「原価を下げろ」 と圧力をかけられると、日本のメーカーはそのコストを国内の部品メーカーに押し付けようとします。
私が関わったある案件では、特殊材料を販売していた際、複数の大手メーカーの資材課長から 「値下げしないと買わない!」 と迫られました。しかし、こちらが 「では、買わなくても結構です。ただし、他社経由で購入する場合、当社の材料しか選択肢がないので、結果的にもっと高くなりますよ」 と毅然と対応しました。
すると、その後のやりとりで、実は海外メーカーからの圧力が原因だったことが判明。
そこで、当時のアメリカ市場の物価指数をもとに 「なぜこの価格になるのか?」 をプレゼン資料にまとめ、海外担当者に説明するよう促しました。結果、海外メーカーはそれ以上値下げを要求しなくなり、日本のメーカーも助かったのです。
ここで信頼関係が生まれたことで、その後は Win-Winの関係 へと発展しました。
ビジネスはWin-Winが基本!
だからこそ、値下げ要求されたら「値上げ」で返すくらいの戦略を持つべきです。
- 原材料費や光熱費が上がっている
- 政府の方針で人件費も上がる
この状況で「売価を下げる」というのは、理にかなっていません。
冷静に 「値下げはできませんが、どうしても希望なら他をあたってください」 と伝えましょう。
「でも、取引先が減るのでは…?」と不安に思うかもしれません。
しかし、実際は 「貴社しか頼れない」 というケースが多いはず。
そこで、取引先の裏にいる顧客に説明できる資料を一緒に作成し、取引先と 「共に戦う」 姿勢を見せるのです。
外部に敵がいると共同戦線が張りやすいですよー、これ戦争の戦略でも同じです。
こうして、今まで Win-Lose だった関係を、少しずつ Win-Win に変えていくことが重要です。
そうすれば、日々の会話の質も変わり、より良いビジネス関係が築けるでしょう。
もし、取引先が発注してこなくなった場合?
それは、今までの関係が薄っぺらかっただけです。むしろ 新規開拓のチャンス!
コロナ禍を生き抜いた企業の皆さん、周りの同業他社が倒れていませんか?
もしそうなら、その企業が請け負っていたビジネスを取りに行き、適正価格で提供する のです。
業界全体の発展のためにも、下請け企業こそ、こうした取り組みを進めるべきだと思います。
まとめ
大変申し訳ありません、私の信念であり好きな話なので、長くなってしまいましたが、ビジネスの基本はWin-Win です。
取引先の値下げ要求に屈するのではなく、一緒に「値上げ」の戦略を考えましょう!
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではまた次回、お会いしましょう!