先日、長年営業していた和菓子屋と蕎麦屋が相次いで閉店しました。どちらも地元では評判の店で、私自身も巻き寿司や団子、鴨鍋などをよく利用していたので、突然の閉店には驚きました。生活の一部だっただけに、正直なところ少し寂しい気持ちです。
なぜ閉店に至ったのか、公式には発表されていませんでしたが、地元の情報網を通じて話を聞いてみると、どうやら薄利での営業を続けていたため、昨今の原材料費の高騰に耐えられなくなったことが主な要因のようです。
キャッシュフローと内部留保の問題
もともと両店とも価格を抑えた営業をしており、キャッシュフロー自体は良かったようですが、内部留保をあまり意識せずに経営を続けていたとのこと。特に蕎麦屋の方は、先代からの蓄えもあったのか、高級輸入車に乗る余裕があるほどの生活ぶりだったため、事業を畳んでも十分やっていけるのかもしれません。一方で和菓子屋はそうではなく、経営的にかなり厳しかったようです。
確かに「あの価格であの美味しさならお得だな」と思っていたのですが、まさか突然の閉店とは…残念ですね。
経営の視点から見た課題
コンサルタントの視点から見ると、両店とも熱狂的なリピーターがいたにもかかわらず、価格をほとんど変えないままコロナ禍以降も営業を続けたため、利益率の低下が経営を圧迫してしまったと考えられます。では、どのようにすれば持続可能な経営ができたのでしょうか?
飲食店では、キャッシュフローが良いために目の前の売上ばかりに注目し、長期的な計画を立てていないケースが少なくありません。しかし、やはり5年、10年先を見据えた経営戦略は必要です。ここで重要なのは売上ではなく利益率です。
例えば、売上高総利益率(粗利益率)を70%程度に設定し、原価が上がれば適切に価格を見直すことが必要です。多くの経営者が「値上げをすれば客が逃げる」と懸念しますが、実際には価格だけで購入を決めているわけではなく、その店の味や品質を気に入っているからこそリピーターになっているお客様が大半ではないでしょうか。
仮に値上げによって一部の客が離れたとしても、新規顧客を獲得する施策を並行して行えば、売上を維持・向上させることは十分可能です。例えば、新たな商品開発やプロモーション、店頭POPでのアピールなど、ピンチをチャンスに変える施策が考えられます。
価格戦略と顧客の信頼
原価が上がるなら、その分は売価に反映させ、設定した利益率が大幅に下がらないようにすることが大切です。もし、経営が安定したタイミングで原価が下がるようなことがあれば、それに応じて価格を調整することで、顧客からの信頼を得ることもできるでしょう。
長く愛される店を続けるには、適正な価格設定と長期的な視点での経営判断が欠かせません。今回閉店した2軒のことを思うと残念ですが、こうした課題は他の飲食店でも十分に起こり得ることなので、学びとして活かせる部分があるのではないかと思います。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました!ではまた次回お会いしましょう!