先日、知人で美容院チェーンを展開している、売上規模5億円の社長に久しぶりに会ってきました。以前、事業再構築補助金の申請時に少しアドバイスさせていただいた方で、若くてエネルギッシュな方なんです。ただ、最近は経営課題に頭を悩ませているようで、少し元気がなさそうなのが気になりましたね。

 

この会社は深刻な美容師不足に直面しているようです。目の前にビジネスチャンスがあるのに、人手が足りずにお客様を断らざるを得ないケースが増えているとのこと。結果として、機会損失が大きく、売上も伸び悩んでいるそうです。美容師という職業は、免許を取得すればすぐに始められるわけではなく、免許取得後に一定の修行期間が必要です。このため、即戦力となる人材の確保が難しいとのことでした。

 

さらに、美容院業界全体を見ても、個人経営の美容院が次々と倒産・廃業している現状があります。その理由としては、価格競争への対応力が不足していることや、労働環境の悪さから美容師のなり手が減少していることが挙げられます。加えて、コロナ禍を経て人々の美意識が変化し、以前ほど髪にお金をかけなくなったという外的要因もあるようですね。こうした事情はネットニュースなどでもよく取り上げられています。

 

厳しい業界ではありますが、だからこそ変革の余地があり、次世代に向けてアップデートするチャンスでもあると思います。現時点では、ヘアドレッシングにAIを導入するには少し時期尚早な気がしますが、まず取り組むべきは美容師の労働環境の改善です。キャリアプランが明確に見える仕組みを作り、サラリーマン美容師でも長く働けるモデルケースを設定することが大切です。また、大手が個人経営の美容院を支援する形で、コンサルティングや人材派遣を行うのも有効でしょう。

 

さらに、美容師不足を解消するためには、厚生労働省と連携し、外国人を美容師として育成するような取り組みも考えられます。こうした施策を大手や中堅企業が率先して行い、美容師の待遇改善を軸に業界全体を再編していくことが必要だと思います。個人経営の美容院にとっては厳しい時代ですが、大手傘下に入ることで生き残る道が見えてくる場合もあります。例えば、大手から派遣された人材が後継者として独立する、といった選択肢も検討できるでしょう。

 

好き勝手な意見に聞こえるかもしれませんが、どの業界でも環境を変えようと行動すれば、必ず変わりますよね。業界団体の意向など気にせず、変革の意思を見せなければ、業界ごと衰退してしまいます。まずは、社長の中に強い変革意識を醸成することが必要ではないでしょうか。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。またお会いしましょう!