今年度も残り3ヶ月という企業が多いのではないでしょうか。もし懇意にしている、もしくは顧問契約を結んでいる税理士や公認会計士がいるなら、一度、各月の損益計算書を作成してもらってみてください。意外と「売上が上がっているのに赤字」という企業が見つかるかもしれません。
「え!売上が上がっているなら当然儲かっているよね?」と思う方もいるでしょう。でも、結構な確率で赤字になっているんです。なぜでしょうか?
原材料費の値上がりは見積に反映したとしても、光熱費や人件費、さらには社長自身が現場で働いている場合の役員報酬はどうでしょうか?そこまで反映できていますか?
実際、中小企業では「原材料費だけを考慮して見積を出している」というケースが非常に多いんです。そもそも、見積の組み立てが「原価の積み上げ」で行われている場合、薄利な利益設定になりやすい傾向があります。つまり、原価を正確に反映して初めて、ようやく少しの利益が出る計算になっていることが多いんですね。
そのため、光熱費や人件費が反映されていないと、売上が上がったとしても赤字案件を受注している可能性が高いのです。
「そんなバカな!黒字案件もあるはずだ!」と思われるかもしれません。でも、もし通期の決算で赤字なら、それは赤字案件を積み重ねている証拠です。このような状態に陥っている中小企業は少なくありません。
特に、先代から引き継いだ「鉛筆なめなめ方式」の見積書をそのまま使っている場合、このケースに陥る可能性はさらに高いです。このような場合、助言をしても「そんなはずはない!」と反論されることも多いですね。でも、少し冷静に考えてみてください。営業利益がマイナスというのは、どういう状態を意味するのか、と。特に長い歴史のある企業ほど、一度で良いので直近3期分の決算書を見返してみてください。営業利益が赤字でなくとも、利益率がかなり低下しているのではありませんか?
企業の存続において重要なのは、売上高の向上ではありません。利益を積み重ね、内部留保をしっかり高めることです!