企業支援をしていると、「名ばかりのタイトル」を与えられ、飼い殺し状態になっている役員を見かけることがあります。その中でも特に多いのが「副社長」というポジションにいながら、ビジネスに全く絡めていないケース。これ、意外と多いんですよね。

今日はこの「副社長」というタイトルをテーマに話を進めていきます。

副社長の本来の役割とは?

本来、副社長というのは社長に次ぐポジションであり、社長と同等の権限が与えられてしかるべき存在です。なぜなら、このポジションにいる方は通常、次期社長候補だからです。ですが、実態はどうでしょう?

権限をほとんど与えられず、ただオフィスに通うだけ。タイトルが「副社長」ではないと見栄えが悪いからという理由で与えられたのでは?と思わざるを得ないケースも少なくありません。

副社長は、単に肩書きで格好をつけるポジションではありません。次期社長として、経営的判断を含む幅広い権限を持ち、最終的には自己裁量で判断し責任を負う「エンパワーメント」を目指すべき役割です。これができていない場合、取引先から見透かされ、企業としての信頼を失いかねません。

副社長の乱発を防ぐ工夫

中小企業の場合、対外的な体裁よりも、組織内の実態に即したタイトル付与が大切です。例えば、「特別顧問」や「経営アドバイザー」といった役職を活用するのも一つの方法ではないでしょうか?

実際、ある企業では副社長を次期社長として成長させる取り組みが成功しました。先代社長は、副社長を取引先に同行させて顔を売り、経営判断の際には一緒に考える経験を積ませました。その結果、急な交代の事情が生じてもスムーズに社長職を引き継ぐことができたそうです。これは、最終目標を「エンパワーメント」に設定していたからこそ実現できた成功例です。

狭義の権限移譲と広義のエンパワーメント

「権限移譲」という言葉はよく聞きますが、その解釈には2つの段階があります。

  1. 狭義の権限移譲
    権限の一部だけを渡し、責任は移譲した側が持つ。

  2. 広義のエンパワーメント
    権限を渡された人が自己裁量で判断し、責任を負う。

この2つの違い、わかりますか?狭義の権限移譲では経験値が限られますが、エンパワーメントでは権限者になった際に必要なスキルや判断力がしっかり育つのです。

もし貴社で権限移譲を積極的に進めたいとお考えなら、ぜひ「エンパワーメント」を最終ゴールに設定してみてはいかがでしょうか?

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。それでは、また次回お会いしましょう!