事実と真実の違い、知っていますか?

皆さん、事実と真実の違いをご存知ですか?
事実とは、客観的に確認できる現象や出来事のことで、証拠やデータで裏付けられるものを指します。一方で真実とは、主観や価値観を含んだ「正しいと思われること」を指し、事実と必ずしも一致しないことがあります。

ビジネスの基本は「事実」に基づくことです。ですが、発信する人の主観や思惑が入り混じった「真実」が、あたかも事実のように見えることがあります。その結果、経営者が正しい判断を下せないケースも少なくありません。


事例から見る「事実」と「真実」の違い

最近、事業承継が失敗した企業の話を耳にしました。私はその案件を直接担当していませんが、先代社長と現社長の両方とつながりがあり、さまざまな話を聞く機会がありました。
そこで、彼らの話と証拠を突き合わせて分析した結果、驚くべきことが分かりました。

先代社長の言い分は「真実」であり、現社長の言い分には「事実」が多く含まれていたのです。

例えば、先代社長は「現社長(自分の息子)のやり方が悪くてお客が離れた」「現社長のマネジメントができていないせいで、部下が言うことを聞かず、離職率も上がった」と主張。しかし、実際に書類を確認し、従業員にヒアリングした結果、以下の事実が浮かび上がりました。

  1. 事務的なミスは、先代社長が引退後も会社に出社し、勝手に仕事を進め、現社長と情報共有をしなかったことが原因。
  2. 部下が混乱している理由は、先代社長が部下を怒鳴りつけるなどして職場環境を悪化させたため。

つまり、問題の原因は、先代社長自身の行動にあったわけです。


事業承継の大原則:退いたら戻らない

事業承継については、また別の記事で詳しくお話ししますが、まずこれだけは覚えてください。
「先代社長は、一度引退したら会社に出社してはいけない」
これが大原則です。

今回のケースでも、この原則が守られていなかったために混乱が起きました。さらに、「真実」を信じてしまい、「事実」を見極められない経営者が多いことも問題です。ビジネス判断では、意識的に「事実」に基づいて考える必要があります。


真実に引っ張られやすい人間の性質

ただ、人間はどうしても「真実」に引っ張られがちですよね。歴史を振り返ってみても、讒言(ざんげん)や偏った主観による情報に惑わされ、皇帝や王が判断を誤った例は数多くあります。

でも安心してください。「事実」を見極める意識を持つだけで、正しい判断を下せる可能性は格段に上がります。皆さんもぜひ、意識してみてくださいね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!また次回お会いしましょう。