人材教育は、どの企業においても重要な課題です。最近では、パワハラとの境界線が曖昧になり、若手社員への対応に悩む中間管理職が増えています。「叱る」ことが難しくなり、「褒める」ことが媚び売りと誤解されるケースも見受けられます。さらに、世代間の価値観の違いから、40代以上には厳しい昭和式の指導を続ける一方、若手には叱ることを避けて褒めるだけという極端な対応が見られることもあります。
例えば、私の妻の職場では、後輩の管理職が「時短なのに時間通り帰れないのは能力不足じゃないですか」といったパワハラ的な発言をしているそうです。もし私なら、「それはあなたのマネジメント力が足りないからでは?」と言い返すでしょう。
こうした状況を見ると、マネジメントの本質を理解していない経営陣や管理職が、職場の混乱や組織の弱体化を引き起こしている例が多いように感じます。マネジメントの本質とは、現場の業務を「仕組み化」し、誰が抜けても仕事が滞らない体制を作ることです。「叱れない」や「媚びてしまう」といった問題は本質的には重要ではありません。最終的には、仕事が順調に回り、組織として成果を出せれば良いのです。
部下を教育することも大切ですが、仕組み化が進んでいない状況で「叱れない」状態が続けば、それは確実に組織の弱体化につながります。
叱ることの重要性
部下を褒めることも重要ですが、それ以上に「怒る」のではなく「叱る」ことが教育の基本です。「叱る」とは、感情を交えずに冷静に改善点を伝え、期待する具体的な姿を説明すること。そして、叱った後には必ずフォローを行うことが重要です。これは私自身が尊敬する講師から教わったことです。
ただし、最も優先すべきは「仕組み化」です。チームの仕事を仕組み化することで、メンバー個々の力量に依存しすぎない体制を整えることが可能になります。その過程で、部下への過剰なケアに時間を割く必要はありません。組織全体が成果を出せる体制づくりこそが、マネジメントの究極の目的なのです。
日本企業の課題
失敗を避けることを最優先にする日本の慣習は、多くの企業で根強く残っています。その影響で、部下に深く関わらず、表面的な優しい言葉だけで関係を保とうとする風潮が生まれています。しかし、このような対応では企業の成長は望めません。経営陣や中間管理職は、こうした現状が組織の弱体化を招いていることを真剣に考えるべきです。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。ではまた会いましょう!