企業の人材採用は、年々難しさを増しています。かつては学歴だけが一つの指標とされ、特に大手企業ではその評価基準が一般的でした。しかし、今は学歴だけではなく、個人の資質や経験、成長のポテンシャルを重視する時代に変わってきています。それでも、企業の採用現場では「学歴が高い=優れた人材」という幻想が根強く残っているのも事実です。

実際、私が過去に勤務していた企業でも、若手採用の多くは有名大学出身者で占められていました。しかし、学歴が高ければ必ずしもその人のパフォーマンスが高いわけではなく、同じ世代の中でもそのパフォーマンスに大きな差が出ることがあります。この現実を前にして、成長志向の企業を目指す上で、採用基準の見直しが求められていると感じました。

また、働き方改革により従業員の権利保護が強化され、企業にとっては新たな負担が増えています。これについては別の機会に詳しく触れますが、今回は企業の人材採用に焦点を当てて考えてみたいと思います。

成長する人材の資質とは?

私が考える「成長する人材」の資質の中で最も重要なのは、「責任感」 です。今から20年ほど前、私は留学から一時帰国し、修士号を取得する予定でしたが、家庭の事情でその計画を断念せざるを得ませんでした。日本の4年制大学を卒業後、2年間海外大学院で勉強をしたわけですが、中退という扱いでしたので、4年生大学卒業の中途採用の第二新卒枠で就職活動を始めました。面接時、よく聞かれた質問の一つが「あなたの強みは何ですか?」というもので、私はその答えとして「責任感です。そして、この強い責任感で何事も完遂できます」と答えました。しかし、多くの面接官からは「それは一般的な答えですね。他に特筆すべき強みはありませんか?」と反応されました。

ところが、最終的に採用していただいた企業では、いきなり役員3名が面接に出てきて、同様の質問を受けました。そこで私は、スタイルを崩すことなく「責任感とやり抜く力です」と再度答えました。その結果、面接官たちには響いたのか、即座に「いつから会社に来られますか?」と聞かれ、採用が決まりました。

入社後、私は150億円規模のプロジェクトや70億円、5億円規模のプロジェクトに連続して従事し、その責任感とやり抜く力でこれらのプロジェクトを完遂することができました。これは決して自慢ではなく、私が仕事に取り組む姿勢の一端を伝えたいからです。

成長する企業文化の重要性

企業にとって、成長を促進する人材の採用には企業文化が非常に重要です。企業文化が成長志向であり、全社員が全体最適を意識して動く風土が醸成されている場合、インターンシップなどを通じて学生にその実態を体験してもらい、双方が共に「この企業は成長するか?」という点を見極める機会を作ることが重要です。

特に中小企業こそ、学生に企業文化を体験してもらうためのインターンシップを提供するべきです。企業側も、実際に働いてみることで学生が自社にどれだけフィットするかを見極めることができます。その際に重要なのは、虚偽の印象を与えることなく、実際の業務の内容や雰囲気をありのままに見てもらうことです。学生も企業も冷静に互いを評価できる機会を設けることが、最終的に両者にとって有益な結果を生むと考えています。

仕事を成し遂げるために必要な「責任感」

私が最も重視しているのは、責任感です。責任感がある人は、必ず「やり抜く力」を持ち合わせ、どんな困難な課題にも取り組むことができます。責任感を持って取り組む姿勢があれば、問題解決に向けて試行錯誤し、創造的なアイデアを生み出すことができる人材に成長します。これは、どんな時代や企業でも変わらない大切な資質だと思います。

企業が求めるのは、ただ単に勤勉であることではなく、効率的に仕事を進め、成果を出す能力です。働き方改革が進む中でも、過度な残業や無駄な時間が評価される時代ではありません。大切なのは、仕事を如何に効率的に進め、成果を上げるか。そのためには、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして責任を持ち、結果を出すことが求められます。

結論

最後に、企業の人材採用において最も大切なのは、責任感とやり抜く力を持つ人材を見極めることです。責任感があれば、どんな困難にも立ち向かい、自己成長を遂げながら組織の成長に貢献できる人材に育つと信じています。この考えをもとに、企業は採用活動を行い、成長志向の文化を持つ組織を築いていくべきだと思います。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回もまたお楽しみに。