最近、社労士の方が書かれている本を読んでみました。もちろん内容は人事関連です。納得できる部分もあれば、納得はできないけれど「まあ、こんな意見もあるのかな」という箇所もありましたが、非常に勉強になりました。本日は、中小企業を支援する際によく話題に上がる人事の件についてお話しします。

 

まず、その本の中で「大企業ではオールラウンダー的に優秀な人材が採用される一方で、中小企業には特定の能力が際立った人材が入ってくる」といった内容が記載されていました。しかし、これは違うと思います。私は大企業で働いていた経験があるのでよくわかりますが、採用される人材は採用する部門によって非常に多種多様です。そして、この採用部門が定める基準が、その後の社風に大きく影響を与えるのです。

 

「大企業は学歴を見なくなった」という説がネットで広まっているようですが、実際には学歴重視の傾向は依然として強いです。しかし、学歴が高ければ仕事ができるのかと言うと、私は大反対です。東大や京大卒の人が入ってきても、はっきり言って「使える人材」はあまりいませんでした。プライドが高すぎる割に、人の手柄を奪うような人も見てきました。こうした人材を採用しているからこそ、大企業でも人材不足が生じているのではないでしょうか。

 

一方で、中小企業には大きなチャンスがあります。まず、自社の魅力を高めることが最も重要です。そして、採用面接では、経営方針を共有する社長以下の面接官が、一貫した基準を持って臨むべきです。自社の社風に合う人材を見極めることが大切です。「人が足りないから仕方なく採用する」というような妥協をすると、社風がぶれてしまい、後で大きな問題に繋がります。

 

面接時におすすめするのが、複数の解決策が考えられる課題について質問することです。この質問への回答を通じて、「個を重視する人か、組織を重視する人か」を見極めることができます。その上で、「個を尊重しながらも、組織を優先する」というバランスの取れた考え方ができる方であれば、その人材は貴社にとって貴重な存在になるでしょう。ここで言う「組織を優先する」というのは、不正を許容するということではなく、不正を絶対に許さないという考え方を持ちながら、長期的な視点で組織全体の利益を考える姿勢です。

 

中小企業では、人材配置が非常に難しいと感じます。大企業であれば、様々な部門があり、人員も多いので働かない人がいても成り立つ部分がありますが、中小企業ではそうはいきません。現在いる従業員については、それぞれの得意・不得意をしっかり見極めて適切な配置を考えましょう。そして、新規採用には時間がかかると心得ながら、自社の社風に合い、組織を優先してくれるような人材を慎重に探すべきです。それまでの間は、パートタイムで対応するのも一つの方法です。

 

「組織を優先した考え方」は、実際には受け入れがたいと思われることが多いです。人間は感情的な存在なので、多くの場合、感情が邪魔をして冷静な判断ができません。しかし、会議などで一度感情を取り払って冷静に考えると、「組織を優先した考え方」が優れているという結論になることが多いのです。このような考えを提示できる従業員は、個々の成績や成果だけではなく、会社で働く全従業員の幸福を考えて発言します。こうした従業員を採用し、会社とともに成長していってほしいと願っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ではまたまた。