先日顧問先の企業の工場を見学した際に、資材が山のように積まれているのを見ました。同行していただいた社長に、原材料は在庫管理しているか?しているなら、安全在庫はどのように設定しているか?を確認したところ、職人が原材料を発注しているが、何かの基準に基づいて発注しているわけではなく、勘に頼った管理をしているそうです。
私はサラリーマン時代に大手企業におりましたが、在庫は悪とずっと教えられてきました。中小企業のコンサルに入る際にこの言葉がみに沁みますね。原材料の在庫は、企業に入庫した際に仕入を計上しているそうです。つまりその時点で費用計上されます。更に仕入先に支払いをするため、キャッシュフローにも影響します。なので、在庫はなるべく計上しない仕組み作りが大切です。在庫管理は大手企業でもできていないケースがあります。
私がサラリーマン時代に海外から輸入した材料を販売する部署にいた際に、ある大口顧客が原材料を値下げしろ!と強く要求してきました。その材料は私が働いていた会社からしか買えないため、わざわざ値下げする必要はないと考えてましたが、私が担当してないので、放っておいて後輩が担当してましたが、取引をやめて直接海外メーカーから買うという大事になり、急遽私が担当させられました。この取引先の課長は最初名刺も交換してくれないくらい激怒してましたが、会う回数を重ねていくと本音を出し始め、結果実は在庫管理ができず、原材料期限がすぎた在庫が過剰となり、費用だけが嵩んでいることがわかりました。最終的に手数料をもらって私の会社が在庫管理をするシステムを提案、これがこの企業だけでなく他社も同じように利用してくれるようになり、ビジネス規模が年間約40億円(売上高ベース)になる商売にできました。
在庫を適正にするには、いくつか方法がありますが、経験値が必要です。まず生産数から原材料の安全在庫を設定しますが、在庫の設定基準は全部の部門で共通にする必要があります。しかし、大企業になればなるほど、各部門で勝手に余剰を設定するため、全体でまず在庫管理の正確性がなくなり、更に過剰になることが起こります。この基準をまずは全社共通に設定して、実際の消費量を実生産個数と合わせモニターして、安全在庫数をアップデートして正確性を持たせることが大切です。
しかし、これを言葉で説明しても経験値がないととても管理できないので、私が薦めるのは商社などの1社から全原材料を購入するようにして、その1社に在庫管理させながら、自社には必要な時に必要な量だけ納入してもらう仕組みを作ることです。当然その1社には管理手数料こみの金額を払うので総原価が上がるように見えますが、実は在庫管理の手間が減り、更に死蔵在庫がなくなるので、総原価は結果的に下がります。なので、これは中小企業にも適用できる仕組みですが、1社に在庫管理させる方法を模索するようにしてみてください。今日は原材料の在庫管理の話でした。ではまた!