映画「ナイト・スイム」…夏の夜のプールは怖し. | チャコティの副長日誌

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主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



原題:Night Swim  製作年:2024年 
製作国;アメリカ  上映時間:98分

 

 

「言えない秘密」に続く上映で、夏場だし水ものホラーも面白そうと、
続けて2本目に観てしまった作品.尺も短いしね.
本年度累積155本目の観賞はブラムハウス製のホラー作品.
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憧れのプール付き物件に引っ越した一家を襲う恐怖を描いたホラー映画.

難病に侵され早期引退を余儀なくされた元メジャーリーガーのレイ・ウォーラー.
現役復帰を目指す彼は自身の理学療法も兼ねて郊外のプール付き物件を
中古で購入し、妻イブや思春期の娘イジー、幼い息子エリオットとともに
引っ越してくる.

新たな生活を満喫する一家だったが、裏庭にあるプライベートプールは、
なぜか15年も未使用のままだった.そのプールには得体のしれない怪異が
潜んでおり、一家を恐怖の底へと引きずり込んでいく.

ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」のワイアット・ラッセルがレイ、
「イニシェリン島の精霊」のケリー・コンドンが妻イブを演じた.

「ソウ」シリーズのジェームズ・ワンと「ゲット・アウト」のジェイソン・ブラムが
「M3GAN ミーガン」に続いてタッグを組んで製作を手がけ、ブライス・
マクガイア監督が2014年にロッド・ブラックハーストと共同で制作した
ショートフィルムをもとに自らのメガホンで長編映画化した.

以上は《映画.COM》からの転載.
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プールに潜む怪異(地縛霊的なやつ)に襲われる王道ホラーで、目新しさ
こそ無いのだけど、ブラムハウス作品らしいホラー映画として、無難に
楽しめる作品には仕上がっていた.

主人公家族が、病気治療中のメジャーリーガーと言う設定も斬新.
復帰が心配な野球選手、息子はコミ障、娘は恋愛中毒、母はチーム移籍毎の
引越し疲れ…と家族の人物描写を細かく見せる.
 

 

父親はプールが病気の治療に役立つから、母親は小さい頃から泳いでいたから、
娘は水泳部だからと、プール付きの邸宅を購入してしまう.
この売りつけた不動産業者がくせ者、事故物件だったのだね.買い主の契約金
まで知っているから、格安だと抜かす(笑).

今作品で現実的な怖さを放っていたのはこの不動産売買かも?
事故物件であることは内見の時にも住む前にも報告せず、少し事が起こってきて
からポロッと報告されのは、契約違反以外の何ものでも無いと思うのだ.

割と早い段階でプールに対する違和感が描かれて、水面に浮いてるものを
取ろうとしたら吸い込まれたり、誰もいないのに声が聞こえてきたり、排水溝に
手を入れたら怪我したりと、目に見えてこのプールはヤバいとは思いつつも、
父親のリハビリのために我慢せざるをえないという状況になっていたのは
しょうがない?!
 

 

このプール、奥へ行くほど深くなる嫌な構造.昔から湧き水も有り、どうやら
プールになるまでは聖泉だったとか、テマガミ様という神?が その泉で
崇められている地だったらしい.
そりゃあ良くないことが起きるのは言うまでもない.

一方的に襲われる側になるのではなく、自らも怪異に取り憑かれて脅威となる
二面性を見せてくれるのも、従来とは少し違う怖さかもしれない.
恐怖の対象が水ではあるものの、おそらく水の影響により幻影や幻聴を
見聞きするので、そのあたりのビジュアルや音響はそこそこ怖いのだ.

カメラワークが抜群にいいから、プールに溺れそうになった時はかなり息が
詰まったし、水に囲まれた恐怖みたいなのは上手い映像だと感じた.
 

 

水中の死霊達の作りはイマイチ、ゴム感ありあり、CGにした方が良かった
のではないかと感じた.余り怖くないのだ.

事故物件で有ったことを知らされてから、前住民を探し出すのだが、その前
住人の母親が出てくるが、テマガミ様を熟知しているようで、寝たきりの
息子を助けたいがために娘レベッカの命まで犠牲にしたことが判明する.
この作品の冒頭シーンはこのレベッカがテマガミ様に襲われるシーンであった.

そしてラスト、母親が溺れた息子を助けるシーン、どこまでも深みに入っていく
プールで逃げ先を迷う中で、冒頭のシーンで犠牲になったレベッカが霊で登場、
コインを投げて見せ行き先を暗示してくれるのは感動的だった.

なんとか陸地へ引き上げ人工呼吸を試みるも息子は意識を取り戻せない状態.
そんな息子を見た父親はプールで溺れた息子を助けるべく自らの命と引き換えに
プールへ行き行方不明になるというエンドは、願いを叶えるためには犠牲が生じる
という作品を通じて描かれるテーマだ.

終わり方もなんだかハートウォーミング的で、それはそれで鑑賞後感は
なかなかよかった.これホラー作品でも、大事なポイント.

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