映画「16ブロック」(TV観賞)…これは秀作だ. | チャコティの副長日誌

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主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



原題:16 Blocks 製作年:2006年
製作国:アメリカ 上映時間:101分



ちょい前のブルース・ウィリスものを好んで観ている.珍しく地上波で放送された
作品を録画鑑賞.18年も前の作品ゆえブルース・ウィリスも元気で、まだ髪もある.
きちんとした演技を楽しむ事が出来た佳作.本年度累積126本目の鑑賞.
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「リーサル・ウェポン」のリチャード・ドナー監督と「ダイ・ハード」のブルース・ウィリス
というアクション映画のプロフェッショナル2人が初のタッグを組んだ刑事アクション.

ニューヨーク市警の落ちこぼれ刑事ジャックは、ある朝突然、裁判所への証人護送
の任務を押しつけられる.護送の距離はわずか16ブロック(区画)だったが、
護送中に何者かによって襲撃される…….

共演は「コンタクト」のデビッド・モースに、ラッパーのモス・デフ.

以上は《映画.COM》から転載.
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冒頭、目付きもとろんとして、くたびれたアルコール依存症姿の中年刑事ジャック
を見ると、これがブルース・ウィリスなのかと驚かされる.髪ももまだ在るしね(笑).
なぜ彼は働く意欲を失ったのか? そんな疑問はその後繰り広げられる逃走劇の
中で明らかになってくる.



しぶしぶ請けおった、たった16ブロックの証人護送. 距離にしたら5〜6Kmだろう
か? ところが署を出た途端に同僚刑事フランク:デビッド・モースに命を狙われる.
ニューヨークの警官全員を敵に回すことを覚悟して、ジャックは刑事の不法行為
を目撃した証人エディ:モス・デフ を裁判所まで送り届けようとする.

証言を通じて再起を願うアフリカ系の不良青年エディを、ラッパーのモス・デフ
が好演.終始しゃべりまくるのだが、表情などから緊張のあまり饒舌になっているとも
思え、独特の緊迫感を醸し出している.彼がジャックに問う「人は変われるのか?」
というのは本作の主題と絡み、単なるおしゃべり野郎では無いと感じさせる.
 

 

アクションはニューヨークの雑踏を活かしたチェイスにはじまり、バスを乗っ取って
の息詰まる駆け引き、激しい銃撃の中での脱出など、じつに多彩.アル中で、
体のキレを失ったジャックが、咄嗟の判断と捨て身の戦法で危機を乗り越えて
ゆき、手に汗握るシーンが連続する.

シチュエーション的にはクリント・イーストウッドの「ガントレット」とか、近年公開の
「マイル22」にも似てはいるのだが、一つ特筆べきは主人公がアル中で、
「正しいことをしたい」という想いと「そこから抜け出せない」という想いの葛藤に
揺れながら行動していくという、ブルースウィリスが弱い分と強い部分の両方を
上手く演技してみせること.

そんなドラマ的な心情がありながらのアクション映画なので、ぐぐっと
引き込まれてしまった. B級よりは遥かに上をいく秀作だと思う.