映画「極限境界線」(DVD)…拉致被害者へ同情ゼロ. | チャコティの副長日誌

チャコティの副長日誌

主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



原題:The Point Men 製作年:2023年
製作国:韓国 上映時間:109分


レンタル屋の韓国作品棚から借り出してみたのは、実話を元にした
サスペンス作品.本年度累積115本目の鑑賞.
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ファン・ジョンミンとヒョンビンが初共演し、タリバンの人質となった韓国人
を救出するためアフガニスタンへ飛んだ外交官と現地の工作員が繰り広
げる決死の交渉作戦の行方を、実在の事件をもとに描いたサスペンスドラマ.

2007年.アフガニスタンの砂漠で韓国人23名がタリバンに拉致される事件
が起きた.タリバンは24時間以内に韓国軍の撤退と収監中の仲間23名の
釈放を要求.

韓国政府が交渉役として現地に派遣したエリート外交官チョン・ジェホは、
アフガニスタン外務省に釈放を要請するが拒絶されてしまう.情報員も
動き出し、工作員パク・デシクがアフガニスタンのフィクサーと交渉するも
決裂.チョンとパクは人質を救うため、不本意ながらも手を組むことになるが….

外交官チョンをファン・ジョンミン、工作員パクをヒョンビンが演じる.
監督は「提報者 ES細胞捏造事件」のイム・スルレ.

以上は《映画.COM》からの転載.
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最初は23人と運転手が乗るバス車内からのシーンで始まる.
走るはアフガニスタンの山岳地方、うねった未舗装をくねくねと
進む.バスの中ではリーダーが率先して祈りをしている.全員が
“エホバの証人”の信者、なんとイスラムのアフガニスタンに
訪問宣教だという.瞬く間にタリバンに急襲され運転手は射殺、
23人全員が囚われの身になる.

この時点でもう拉致された人質には共感とか可哀想という気持ちは
吹っ飛んでしまう.なんで911以降戦争状態のアフガニスタンに、
しかも敬虔なイスラム教の地にキリスト教亜種の“エホバの証人”
の教宣なのだろう??

北京・パキスタン経由でアフガニスタンへ入国しているので、
韓国政府の抑止も効かなかったよう.もう自殺願望者としか
思えないのだが、後に23人全員出国前に遺書をかいていたとか.

もうこんな奴ら助ける意味や意義が感じられず、その後の主人公
たちの奮闘もなにか虚しく無意味に感じてしまう.被害者に全く
感情移入出来ない作りのこの映画、失敗だと思う.

されど、韓国民であればこそ…と大義に基づき外交官チョン:
ファン・ジョンミン、秘密諜報工作員パク:ヒョンビンは全力を
あげてアフガニスタン政府とタリバン政権へ根強く交渉していく.
 

 

拉致された韓国人たちはタリバンの言うままに、“助けてくれ”だの、
“韓国に帰りたい”とVideoメッセージを送ってくる.そのまま頭を
打ち抜いてくれれば良いのに、と不謹慎な観客の副長(苦笑).

日本でなら「自己責任」の話題で持ちきりになるだろうけど、
韓国メディアは、気にもせず拉致されたのは布教活動の為と
盛大に放送してしまう.どうせタリバンにはわかりっこないと
うそぶく韓国メディアもそうとうなマスゴミ化している.

案の定、アルジャジーラを通じて訳されて放送され、タリバンは尚
一層に反目してくる.一方韓国外務側にも、人質解放の手伝いと称して
詐欺師一派が近づいてくる.

大金を渡してから、詐欺と気付き、秘密諜報工作員パク:ヒョンビンが
その車を追跡するシーンが本作唯一のアクションシーン.最後はバイクに
乗って、その追跡車に乗り移るシーンまで見せてくれる.これには興奮.

 

 

パクの大活躍により、大金だけは取り戻したのに、グルだろうと疑われる
パクは浮かばれないのだが、陰に日向に外交官チョン:ファン・ジョンミンの
手助けをしようとするのが、単なるバディ感を超えてみせるのがキモ.

外交官チョン:ファン・ジョンミンは任務としての「交渉人」の枠を、一個人の
怒りや心情が突き破ってしまおうとするのだが、国や担当省庁や上役の
面子や掟に押し込められてしまい最後には韓国帰国まで申し渡される.
男のやるせ無さが強調されていたが、急転直下韓国大統領からの電話で、
タリバンとの対面交渉を任される.

ラストは米軍の空爆を後ろ盾にした力攻めでタリバンの将軍と対面勝負.
タリバンの要求が勾留中の仲間の解放から身代金に変わったことで、
揺れを読んだファン・ジョンミンが身代金の額を値切って将軍を追い
詰めたのは、交渉に長けた外交官の手腕を見せつけるものであった.

どうせ事実を元にフィクション化するのであるから、拉致される被害者の
設定も変えれば良かったのではと思った.エンタメと史実の間を彷徨う
韓国映画の欠点が露出してしまった感がある.

私事だが、勤めていた会社の先輩が老いて結婚した妻の影響で、
“エホバの証人”に入教してしまい、その奇異な教条に縛られた生活
の為に、会社関係の知己は全て排除された経験がある.

その時も奇異な宗教と思っていたが、昨今のマスゴミの取り上げ方を
見ると、旧統一教会に勝るとも劣らない活動内容があり、今改めて
近寄りたくない人々…の感を強めている.
まぁ宗教の自由はあるのですが.