レンタル屋新作棚で見つけたのは今年の1月に観落とした城定秀夫監督
の作品.王城ティナが観たかった.本年度累積302本目の鑑賞.
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「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫監督が、1人の男性とその元恋人
と現在の恋人のいびつな三角関係を通し、誰もが抱く嫉妬や恋心を繊細
かつエキセントリックに描いた恋愛ドラマ.
図書館に勤める富田桃は、自分を振った元恋人・湯川健太朗のSNSを見て、
彼に真島莉子という新しい恋人がいることを知る.自分とは正反対の洗練
された莉子に興味を抱いた桃は本人を特定し、ある理由から彼女に直接
会いに行く.
桃は莉子に、健太朗が撮った自分との秘密の写真データを取り返したいと
話し、桃と莉子は秘密の共犯関係に陥っていく.
松本穂香が桃、玉城ティナが莉子を演じ、「ブラックナイトパレード」「鋼の
錬金術師 完結編」の渡邊圭祐が健太朗役を務めた.
「愛がなんだ」などの脚本家・澤井香織が城定監督と共同で脚本を担当.
以上は《映画.COM》から転載.
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なんだ次々と新作をリリースする城定監督、本作も脚本も協同執筆していて
決して手抜き感など皆無の、きちんとした出来に仕上がっていた.
恐るべし城定監督.
リベンジポルノされる疑いがあるので、元カノと今カノが協同して、元カレ&彼氏
の家に潜り込んでデータを消すとい展開からただの三角関係か思いきや、
これが全く意外な展開と結末に繫がっていくという物語.
一人の男によって交わるはずのなかった二人の女性が出会い、その一見
正反対な二人が協力関係を結ぶうちにお互いに共感し合える部分が見えてくる.
そして友人でも姉妹でもない二人の言い知れぬ関係性の中で不思議と
穏やかな時間が流れていたように思えたが、ラストに向かうにつれて次々と
暴かれていく二人の視点からのそれぞれの真実.
玉城ティナの冷徹な感じと、和解した後の無邪気な様子、松本穂香の普段とは
違う無表情多めのヤバめキャラ、渡邊圭介の爽やかイケメンなのにクズキャラと
いう設定とその演技には安心して観ていられるものがあった.
渡邊圭介の認知症気味の祖母役に又しても白川和子.良い笑いのアクセント
付けになっている.他にも渡邊圭介の家の合い鍵密造のくだりなど、笑わせる
ツボも見事に盛り込まれている.
この作品は後半になってくると、とにかく伏線回収が凄い.あの時の仕草、言動
はそういう意味だったのか.あの作戦がうまくいかなかったのはそういう理由
だったのか、と判る度に脚本の出来の良さを実感させられる.
男女の三角関係をおとぎ話テーマで想像もしない角度から切り込んでくる
いかにも城定監督の仕事を実感させられる秀逸な作品.
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