映画「8人の女たち」(DVD観賞)…男は道化でしかない. | チャコティの副長日誌

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主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….

 


原題:8 Femmes 製作年:2002年
製作国:フランス 上映時間:111分



たまには過去の名作も観なきゃね.フランソワ・オゾンは好きな監督.
最近の作品はほとんど観ている.名作と言われている本作ももう20年
も前の作品だったんだね.DVDで観賞したのは本年度275本目.
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舞台は50年代のフランス.クリスマス・イブの朝、雪のため密室となった
大邸宅で、主人の死体が発見される.邸宅にいるのは8人の女たち.
果たして犯人は誰なのか.

フランソワ・オゾン監督の最新作はフランス映画界が誇る新旧8人の
名女優の豪華共演も話題のミュージカル.

17年生まれの「うたかたの恋」のダニエル・ダリューから、79年生まれ
の新星リュデビーヌ・サニエまで、全員に歌って踊るシーンがある
サービスぶり.

以上は《映画.COM》から転載.
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明るい色調の画面がなにより新鮮.舞台劇がベースゆえ、固定の居間での
出来事に終始するし、歌も踊りも入る.ダニエル=ダリュー、カトリーヌ=

ドヌーヴ、イザベル=ユペール、エマニュエル=ベアールといった大女優が

皆踊るし、自身で歌も唱ってくれるのは美味しい ♪

「うたかたの恋」のダニエル=ダリューが祖母役.80歳で歌って軽やかに踊って、
可愛いお婆ちゃまを演ずるのには驚き.つい最近100歳で亡くなったそう.合掌.
カトリーヌ・ドヌーブもこの時はちょうど還暦か? 少し太ってはいるが、

チャーミングで.相変わらず美しい.エキセントリックで姉ドヌーブにひがむ

妹役は、なんとイザベルユベール!!

タイトルバックで名前を見ていなかったら絶対気付かない.

そんな8人の出演女優が一人ずつ歌って踊り、とても楽しめる.
謎解きも少しクリスティー風に進んでいく.密室で父親が殺されるーという場面から、
それぞれの8人の女たちのアリバイ工作かな?と思いきや、人間関係、隠し事、
暴露にまた暴露となるのに、暗く重くならないのは、明るい色調の画面と彼女達の
歌と踊りが個性溢れて明るい印象を与えるからか?
 

 

 

 

小娘の姉妹たちもなんともキュート! 

リディビーヌ・サニエやフィルミ−ヌ・リシャール
が若さがゆえの魅力を放出してくれる.

老?女優たちの演技の対照が面白い.

それぞれの問題が浮かび上がってきて金や愛人がらみの陰湿な裏側を
コミカルに表現する手際はやはりオゾン監督ならでは.複雑な人間関係を
考えるオゾンもすごいが、女優それぞれの個性的演技で違和感なく華麗に
見せてくれる.

ここで繰り広げられるのは、女たちの愛と欲望と嫉妬と怒りと孤独と悲哀と
嘘と真実が露わになっていくプロセス.観客として十二分に楽しんでしまう.
これはミュージカルであり、コメディであり、悲劇であり、ミステリーなのだ.

錯綜する8人の女たちの想いと行動…、ただ一人顔も見せない男の立場は
彼女らに苦しめられるだけの被害者.
男なんて所詮道化役、そんなものなのだろう(苦笑).


 

[副長日誌補足]

 

女優名に誤記があり修正しました.

 

2022.11.30 9:55