映画「盗まれたカラヴァッジョ」 (DVD観賞) | チャコティの副長日誌

チャコティの副長日誌

主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….

 

原題:Una storia senza nome
制作年:2018年 制作国:イタリア 上映時間:110分


昨年見落した作品がDVD化された.早速TSUTAYAで借りて観たのは
イタリア作品.本年累積15本目の鑑賞.

「ローマに消えた男」「修道士は沈黙する」のロベルト・アンドー監督が、
1969年にイタリアで実際に起きた未解決の絵画盗難事件の謎に迫る
サスペンス.

人気脚本家アレッサンドロのゴーストライターでもある映画製作会社の
秘書ヴァレリアは、引退した捜査官を自称するラックという男から、1969年に
起こったマフィアによるカラヴァッジョの名画「キリスト降誕」盗難事件を映画化
するよう勧められる.

男の助言に従い、ヴァレリアがプロットをまとめ、映画会社は映画化を決定するが、
映画化の情報を耳にしたマフィアによってアレッサンドロが誘拐され、こん睡状態
で発見されるという事件が起こる.

ラックの情報を元にミスターXとしてシナリオを書き進めるヴァレリア.
マフィアがミスターXの正体を探る中、映画の制作が着々と進んでいく.

以上は《映画.COM》から転載.
—————————————————————————————


スパイとマフィアと政治家がせめぎ合う環境下に、素人の秘書ヴァレリア:
 ミカエラ・ラナゾッティがひとり放り込まれるストーリー.本作品の原題は
 「名の無い物語」であり、ヴァレリアが書いた劇中劇のタイトルでもある.

1969年に実際に盗まれたカラヴァッジョの「キリスト降誕」がネタに
使われるだけで、画自体にはストーリーはあまり関係なく、ただ集客目当て
の邦題にはまたもがっかり.原題の方が味わい深いと思うが….

ヒロイン:ヴァレリアを演ずるミカエラ・ラナゾッティが魅力的.40歳の
母と二人暮らしの独身の映画会社の社長秘書を演ずる.もう10年間
も名脚本家とされるぺス:アレッサンドロ・ガスマンのゴーストライターを
務めている.

平凡な秘書の時の地味な服装、化粧っ気の無い顔の時と、ここぞと
言う時の化粧して髪型を変えた時の差分が魅力的だ. その母親アマリア:
ラウラ・モランテは飛び切りの美人で、政治家の 裏方を務める、
只者でないところがまた素敵だ.



素人がマフィア陰謀に巻き込まれてしまったらどんなことになるのか、
どんなふうに行動するのかをヒロインの行動を観ながら味合うのは楽しい.
自分だったらどうするか?観客は皆、主人公と同じ立場に身を置いて、
一緒になって恐怖を覚え不安におののいてしまう.

このサスペンス感は なかなか良く出来ている. そんな時にいつもヴァレリアを
手助けしてくるのが、引退した元捜査官の ラック:レナート・カルペンティエリ
なのだが、最後にヒロインとの意外な 関係が明かされる….
レナート・カルペンティエリがまた渋い感じの演技を 見せてくれるのも楽しい.
 

 

残虐なイタリアン・マフィアの実態と行方不明の名画の行き先、
芸達者の演者たちの好演、とあっという間の110分間.

こんなに面白かったら劇場で観ておけば良かった…. .