映画「家なき子 希望の歌声」 | チャコティの副長日誌

チャコティの副長日誌

主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….

 


原題:Remi sans famille
制作年:2018年 制作国:フランス 上映時間:109分
 

 

日曜の午後、食材を買いに出たついでに近所のシネコンで鑑賞したのは
児童文学定番中の定番のフランス作品.本年劇場観賞160本目.

日本でも3度アニメ化されたフランスの名作児童文学「家なき子」を実写映画化.

南フランスの農村で暮らす11歳の少年レミは、優しい母と貧しいながらも
幸せな毎日を送っていた.そんなある日、長い間パリへ出稼ぎに出ていた
義父により、レミは旅芸人の親方ヴィタリスに売り飛ばされてしまう.

情の深い親方に歌の才能を見いだされたレミは、犬のカピや猿のジョリクールと
親交を深めながら、ひたむきに旅を続けていく.

オーディションで選出されたマロム・パキンが主人公レミを演じ、美しい歌声も披露.
「隠された記憶」のダニエル・オートゥイユ、「8人の女たち」のリュディビーヌ・サニエ、
 「ニュー・シネマ・パラダイス」のジャック・ペランが脇を固める.  

以上は≪映画.COM≫から転載.
--------------------------------------------


原作はさすがに読んでいる.が50年以上も前だ(笑). 当時少年には鉄板だった
小学館「少年少女文学名作集」に収録されていた. その後も、日本では何度か
アニメ化されてTVでもお馴染みだったかも.

今回、いろんな劇場で予告を見せられたが、その吹き替えの違和感に、
絶対字幕版で観ようと心に決めていた.近所のシネコンは幸運なことに、
どちらも選べたのだ♪こんな易しいフランス語なら、副長は字幕も不要(笑).

出だしに名優ジャック・ペラン演ずる老人が想い出話を始めるという構成は
新鮮な印象.10歳になるレミを演じたマロム・パキンという子役はとても
上手な子役.

無邪気に歌うあどけない少年が急に起きた状況の変化に 戸惑い泣き叫ぶが、
やがて状況を受け入れて強く生きるようになる成長の 過程を見事に
演じきっている.

要となるのはレミと一緒に旅する親方ヴァイタリス:ダニエル・オートゥイユの存在.
明日をもしれぬ旅芸人でありながら、なけなしのお金を使ってレミを窮地から
救い出す.

ヴィタリスにとって贖罪の旅であったことは後に知れるが、レミはこの親方から
人の優しさを学び、貧しい人間が陥りがちな憎悪と不寛容の地獄に
落ちないで済む.

オオカミに追われたり、その余波で猿のジョリクールが亡くなったりとスリルとお涙
頂戴のシーンにもこと欠かない.そして最後レミの生家探しを巡っての活劇と
悲劇…既知の話ながらもホロリとさせられるのはやはり名作の力か.

決してハリウッドやディズニーが手を付けないであろう、フランスの児童小説、
フランス作品ならではの小規模さ、まとまりの良さを感じさせる佳作.