土曜の午後、新作では無いのだけどTOHOシネマズ柏で劇場鑑賞.
既知の作品なれど、「4K」と「リマスター版」の二文字に誘われてしまった.
本年劇場鑑賞累積69本目.
漫画家の大友克洋が1982年から「ヤングマガジン」で連載した同名コミックを、
大友自らが監督を務めて1988年にアニメーション映画化.
近未来の東京を舞台に超能力者と暴走族の少年たちや軍隊が繰り広げる
戦いを描き、製作期間3年、総製作費10億円という当時としては破格の歳月や
労力をつぎ込んで生み出された濃密でハイクオリティなアニメーションが
国内外に多くの影響を与えた伝説的な一作.
1988年7月、関東に新型爆弾が落とされて第3次世界大戦が勃発.
それから31年が過ぎた2019年、東京湾上に築かれた新たな都市=ネオ東京は
翌年にオリンピック開催を控え、繁栄を取り戻しつつあった.
ある夜、職合訓練校に通う不良少年の金田と仲間の鉄雄らは、閉鎖された
高速道路でバイクを走らせていたが、そこで26号と呼ばれる奇妙な男と遭遇する.
その男は、軍と対立するゲリラによって、「アキラ」という軍事機密と間違えて
ラボから連れ出され、軍に追われていた.そこへ現れた軍によって、26号と
接触して負傷した鉄雄が連れ去られてしまい…….
製作から30年以上を経た2020年、4Kリマスターと音楽監督の山城祥二指揮
のもとで行われた5.1ch音源のリミックスを施した「AKIRA 4Kリマスターセット」が
20年4月23日にブルーレイ発売.それを受けて同年4月3日から全国の
IMAXシアターで4Kリマスター版が劇場公開される.
以上は《映画.COM》から転載.
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SF好き、アニメ好きには金字塔扱いの本作.
むろん原作は読んでいる、20代の時だね.映画になったのは30代の頃だ.
スピルバーグ監督の「レディプレーヤー1」(2018)に真っ赤な金田バイクが登場
したのも記憶に新しい.ハリウッドでの実写映画化も進行中だそう.
舞台は、東京オリンピックを間近に控えた2019年のネオ東京.
奇しくも、現実の東京オリンピック開催とリンクしたことが話題にもなった.
不良少年グループの金田と鉄雄は、人体実験によって新たな力に目覚めた
少年との遭遇をきっかけに、ネオ東京をも滅ぼす力をもつ最高機密「アキラ」の
神秘にふれることになる.
4Kリマスター版となり、30年モノとは思えない程の精細さと緻密さは備えている.
変わったのは“音”であろう. 一般劇場しかチョイスできなかったが、Dolby-ATMOS
とか IMAX だったら、もっと大迫力を楽しめたのかも知れない.
芸能山城組による音楽も、大きな魅力のひとつ.インドネシア・バリ島の男性合唱
ケチャ、竹製の打楽器ジェゴグなど海外の民族音楽を取りいれた楽曲群は
強烈なインパクトがあり、そのリズムと音色で、見る人を作品世界に没入させる.
再編集されたのだろうか、なにせ30年前の観賞ゆえ詳しくは覚えていないのだけど、
筋書きも最後の方が駆け込みになってしまっている印象.反勢力側の事情とか
新興宗教のミヤコ様の扱いがぞんざいに感じた.
そうは言っても、今もなおエンタメフィルムとして見るたびに新たな発見があり、
ネオ東京の破壊と再生への祈りを描いた物語には、作中で描かれた2019年を
過ぎてしまった今なお不思議なリアリティが感じられる名作.
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