2022年春、東京の桜は3月27日に満開になった。
それを聞いて、3月29日、会社出勤前の早朝、文京区の播磨坂(はりまざか)さくら並木に行ってきた。
播磨坂(はりまざか)は、第二次大戦後の区画整理でできた「環状3号線」の一部として整備された。
この地にあった松平播磨守の上屋敷にちなみ、播磨坂と名付けられた。
昭和35年に坂の舗装が行われた際に、当時の花を植える運動の一つとして桜の木約150本が植えられた。
桜は、地元の人々の手で育てられ、立派な桜並木に成長した。
左右それぞれ2車線の道路に挟まれた播磨坂の中央部は緑道として整備され、憩いの場となっている。
濃いピンクのハナカイドウがちょうど見頃だった。
掛井五郎作「地下水」
天気は曇りだった。
山本正道作「春の詩(うた)」
播磨坂から横道に入ると、すぐに石川啄木終焉の地がある。
今はマンションが建っている。
啄木は、明治44年(1911)8月、本郷弓町の「喜之床(きのとこ)」の二階から、この地の借家に移った。
既に肺結核に侵されていた啄木は、翌明治45年4月13日、父、妻(節子)、友人(若山牧水)に看取られながら満26歳の若さで亡くなった。
終焉の地の隣地には、石川啄木顕彰室と終焉の地歌碑がある。
石川啄木終焉の地歌碑。
原稿用紙を模したプレートが埋められている。
啄木が亡くなる2か月ほど前に、最後に作ったとされる2首の草稿だ。
呼吸(いき)すれば、
胸の中(うち)にて鳴る音あり。
凩(こがらし)よりもさびしきその音!
目閉づれど
心にうかぶ何もなし。
さびしくもまた眼をあけるかな
再度、播磨坂に戻った。
早朝だから人は少ないが、駐車車両が多いのは興醒め。
今年も桜まつりは中止となった。
佐藤忠良作「風韻(ふういん)」
東京での桜の見頃の見納めとなった。
東京の見頃は終わっても、埼玉北部、群馬の桜の見頃はこれからだ。