1日2回も房総なんて、クレイジーだろ?
「わかしお89号」の旅は、上総興津を越えた。
そして到着したのは、
安房小湊。
およそ3ヶ月ぶりの到達となった。
実は今回は、この安房小湊駅に一旦引き上げ回送してくる場面を捉えたかった。
しかし、もともと安房鴨川駅で1番線への発着や2番線への到着を記録していなかったことと、何より
相変わらず普通列車の本数が少なく安房鴨川へ往復移動が困難、ということがネックとなった。
祝日であるため並行路線バスによるカバーも難しく、結局見送ることとなる。
つくづく、これまで記録に手付かずでいたことを悔いるものであった。
ということで「わかしお89号」は安房鴨川まで乗り通すこととした。
ふと窓枠を見ると、痛々しく補修した箇所を見つけた。
雨漏りもあったと聞くし、さまざまな場面でもう限界に来ていたんだろうと察する。
そして…
14:57、「わかしお89号」は安房鴨川に無事到着。
東京から2時間を切る健脚ぶりは、線路条件を考慮しても十分評価に値する走りぶりだった。
そして、終点に着くとやはりそれなりに撮影する人が増える。
自分と同じように、255系目的で乗ってきた人が多くいたのだろう。
それでも、やはり都心側のような賑わいには程遠い。
良い意味で解釈すれば、日常とさして変わらない空気のまま推移したというところだ。
これが6月末までは、日常風景だったのだ。
特に3月16日からの3ヶ月半は、密度も上がって濃い走りを連日見せてくれた。
しかし、これまでの経緯もあって安房鴨川まで到達するのは少なかった。
特に255系に乗車しての安房鴨川入りは16年ぶりだったと思う。
当時は、送りつけられた指定席特急券を片手に
はぁ、1週間の懲役か
と暗澹たる気持ちだったはずで、乗れた嬉しさなど皆無だったのだろう。
しかも目的地が携帯電話の電波も受信できない場所だったから、余計にしんどかったようである。
かつてない緊張と疲労を持って無事に“お勤め”を終え、帰る時もまた感慨もなく足早に帰京。
ようやく今年のGWの再訪で若干は負のイメージを払拭したが、まだまだ気持ちは重い。
これに鉄道趣味独特の喧騒が混ざったらどうしようかと思っていたが…
幸いというか、予想通りというか、その騒ぎには程遠く、ゆったり見ていられた。
…ただ、255系の動きだけは少々慌ただしい。
15:10。
255系は、外房線を再び東京方面に向かって走り去っていった。
しかしそれは、定期「わかしお16号」を1番線に入れるための苦肉の策であった。
そのための、安房鴨川〜安房小湊間の往復回送なのである。
この「わかしお16号」も、6月末までは255系による代走運行であった。
この日は三連休ラストであり、それなりに利用客が乗車を待っていたが…
それでも255系でないと捌けない、という状況には遠かったようであった。
これをもって一時休養し、いよいよ帰路へ…