あれから一週間が経った。
小田急ロマンスカーVSE、完全引退。
過去最大の熱量を持って乗り、追い、撮ってきた
VSEが走り去り…
小田急界隈には、久しぶりに静寂が戻った。
厳密には廃車回送が終わり、少なくとも1両程度保存されるまでファンの気が休まらないのやも
わからないが、まず12月10日で2度目かつ、最後の重大な区切りがついたことは疑いない。
かくいう自分は、その前日の12月9日で大きな一区切りをつけてはいた。
乗る事に関しては、万感の思いを込めて区切りをつけたものの…
撮ることも区切りこそはついていたのだが、天気も良くなっていたしそんなに肩肘を張らないで
もう一度だけ、本当に最後にVSEを見送ってみようと思い立ったのだった。
…とはいえ、最初から最後までなんて気力、体力はとうに持ち合わせていなかった。
うっかり家用を夜に差し込んでいたこともあって、タイムリミットは日没までとなった。
その判断は最終的に、それで良かったと思うことになるのだが。
最初のポイントは、10:20頃、登戸駅から。
既にツアーは相模大野を起点に江ノ島線を往復。
しかし、自分としては定期運転の最終日に「ホームウェイ81号〜えのしま2号」で乗車済みだし
ミステリーツアーでも各所で撮影してきたので、今回は江ノ島線には行かなかった。
それと、初動のタイミングが微妙であったため、スタートは因縁深き登戸からとした。
1回目のツアーの終点は多摩線唐木田だったが、一度喜多見電車基地に出入庫することも同時に
明かされていたため、登戸を通過することが織り込み済みだったのである。
関心事としては、VSEが“どちらの線路を走るのか”ということだった。
急行線を走ってくるところは既に捕捉済みだったが、喜多見電車基地に入るとなると、緩行線を
走行するのではないか?とこれまでの実績で考えたからだった。
それもあって、狭いホーム先端ではあったがどうにかうまく構えて待つ。
前後して何人か集まったが、まだこの時間は周りの空気も緩やかであった。
10:25頃。
この日のファーストカット。
狙い通り、緩行線を走ってきた。
展望席からは手が振られ、こちらからも振り返す。
小田急ロマンスカーらしき、穏やかなエールのやり取り。
最初にして最後のベストカットともいえる、これぞVSEのカット。
まずここで、見送って一度は終わる…と思ったのだが。
急行線には、ちょうど10:25発の急行が発車しようとしていた。
一か八かこりゃ博打かと、半ば直感を働かせて飛び乗り、成城学園前へ向かうことにした。
その結果、
喜多見手前で追い抜いた!爆
思いの外緩行線ではスピードが上がらず、急行の方が早く駆け抜けていった。
10:31に成城学園前に着くと、4番線は各停が待っていた。
どうやら、急行が少し遅れていたらしい。
各停が発車して、2分後…
4番線に、VSE到着!
到着してすぐに、エンド交換が速やかに。
定期列車の合間を縫ってのため、素早く準備が行われる。
今回は小田原方に向かう時間余裕は皆無だが、これも以前履修済みだから良い。
あの喧騒から9時間半前の成城学園前駅。
構内放送では注意喚起に加えて、10時35分に動く旨も丁寧に案内が。
以降、小田急線各駅ではVSEラストランを見送る人のために多くの案内を尽くしてくれた。
それは有り難い事ではあったのだが、他方、一部に対して無駄に感情を煽る事になってくるのは
如何ともし難い事なのだろうか…と苦悩するパターンも増えてくる。
そして、予告通りに。
10:35。
VSEは来た道を戻り、喜多見電車基地に入っていく。
無事に入っていき、姿が見えなくなってから再度追う準備に入る。
そして喜多見電車基地内では、先に引退した50002編成と並んだそうだ。
引退したというものの、こちらもまだ休車のまま残されているのが気掛かりである。