その3からの続き
20代の私、
資格取得の研修所に通う日々。
いつも朝、同じホーム、同じ電車で出会うイギリス人男性とは、お互い惹かれあっていたのがわかりました。
目が合うとお互い笑顔で返していました。
でも、若い2人、かなりシャイでした。
彼とゆっくり話す機会はなかなか訪れません。
季節は、真夏に近づいていました。
ある日、私が先に電車に乗ると彼が隣に座って来ました。
私はドキドキしながら勉強をしている振り。
彼は本を読む振り。
私の勉強を邪魔しない彼。
内心は、話しかけたい、話しかけてよー
でも、満員電車。
ぎこちない2人、、、時間は過ぎ。
電車を降りてホームを歩く私に彼は、名刺を渡して走り去って行きました。
え!と思った瞬間、彼は見えなくなりました。
名刺は、勤務先の物。
裏にはイギリスの住所が書いてありました。
翌日から電車を待つ彼の姿はなくなりました。
同じ電車でDを見た事がある友人に話すと
友人がその会社に電話しました。
20年前は、まだ個人情報について今ほどうるさくなかったのですねー
会社の人事の方、教えてくれました。
彼は、イギリスの大学生。
彼は、商社でインターンをしていたのでした。
そして、名刺をくれた翌日、イギリスに帰った事がわかりました。
イギリスのイングランドの人でした。
えー、帰っちゃったー 涙
でも、私は、資格試験がある!
勉強、勉強!
彼がイギリスに帰国した数ヶ月後、私は無事資格に合格しました。
そんな時、友人がDに手紙書いたの?
彼、待ってるよの言葉に押されて手紙を書いたのでした。
でも、返事はいつになっても来ませんでした。
私はその後、アメリカに留学して多忙となり、次第に彼の事は、忘れて行きました。
引越を繰り返す内に名刺もどこかに行ってしまいました。
でも、彼の顔は、忘れてしまっても
Dの名前は、頭の中から消える事はありませんでした。
ファミリーネーム凄く似てたんです。
今思うと彼が名刺の裏に書いたのは、住所だけ。
20年後に再会して聞いたのは、
何故メールや電話番号でなかったのか。
彼もイギリスに帰国して寮も決まっていないし、携帯やメールもちょこちょこ変えている。
確実に連絡が取れる実家の住所が一番良いと思ったそうです。
そして、20年後に再会するのです。
続く