彼がうちに来たのは22時すぎで。
そんなに遅くなる予定ではなかったんだけど
仕事でのトラブルでって。
時間はたっぷりあったから
おつまみになりそうなものを6品と
〆のお味噌汁を用意してあった。
ちょっと失敗したものもあったけど
久しぶりに料理したわたしにしてはなかなかの出来かな。
兄ちゃんはわたしが食べ始めるのを見て、無言で食べ始めた。
ポテトサラダが好きだという兄ちゃんに
大量のポテトサラダを作っておいた。
大きな一口を食べて
「う〜ん。普通のポテトサラダ」
「は?」
「普通の味付けの、おいしいポテサラ」
兄ちゃんはびっくりするくらい褒め下手だ。
兄ちゃんはそれっきりであとの5品に触れることなく、
話題は見ていたテレビの話や仕事の話で
わたしのことはひとつも聞いてこない。
自分で買って来たビールを飲みながら食べ進めているけど
まずいと思いながら食べてるのかな、と不安にもなる。
無理してるのかな、とか。
そんなわたしの不安をよそに兄ちゃんはお皿を空にしていき
わたしが席を外してる間に空いたお皿をわたしのほうへ置いておく。
片付けろってこと?
しかも黙って?
さらに食事の途中でお風呂に入ると言い出した。
食後では眠くなって入れなくなるから、と。
「俺入るの早いよ」
なんて言って、わたしが食器を洗ってる最中に出て来た。
まだ食べると言うから置いておいた残りのものたちは
お腹がいっぱいになったのか、またわたしが中座してる間に洗い場に置いてあった。
「残りそこに置いといた」
もういらないから捨てるなりなんなりしろってことか。
渡したバスタオルは脱衣所にほったらかしで、ありがとうもなく
育った環境の違いなのかなんなのか
兄ちゃんのふてぶてしさに呆れ、何も言えず
兄ちゃんがテレビを見てるあいだに浴槽を洗ったりしてた。
掃除を終えてリビングに戻ると
初めて入った女友達の実家の居間で寝転びくつろぐ兄ちゃんは
「やっと来た」。
あぁ、これで子供が生まれて。
1年間2人のお世話をして。
これは兄ちゃんが奥さんに逃げられたのも頷ける。
兄ちゃん、だめだよ。
これじゃぁ仕方ないよ。
わたしもう、兄ちゃんの味方だけではいられない。