6 床ずれ(褥瘡)、いったいどのようにしてできるのか。
では、本来病気を治療するためにある病院において、なぜこのような恐ろしい褥瘡を発症させてしまうのだろうか。その答えは、褥瘡とはもともとどのような経過をたどり発症する病気なのか、そのメカニズムを理解することと、その病院のあくまで建前ではなく、本音部分の経営方針を知れば、おのずと導き出せるが、まずはその発症メカニズムについて、わかりやすく説明したい。人間の細胞は必要な酸素と栄養を常に血液から取り込んでいるが、その血液が流れる血管に、ある一定以上の圧力(外圧)が継続して加わると、血流が途絶えその部分の細胞が死ぬ。ただし、人間にはそれを自動的に阻止するメカニズムも備わっている。通常、細胞はそのような状況になる前に、痛みやしびれ等の危険信号を発し、「苦しいから早く血を流してくれ!」と、脳に伝えることで、それを回避させようとする。例えば、正座をしている時に脚がしびれたり、また椅子に長く座っている時にも、お尻が痛くなって腰を浮かせたりするが、これもその動作の一つである。ところが、何かの理由でその痛みを感じることができず、この動作が自分でできなくなった場合は、誰かが意図的に血流を回復させなければ、そこの部位の細胞は死ぬということだ。状況は様々だが、例えば、人は眠っている間も、寝返りを打ちながら無意識のうちにこの床ずれ防止策を自分で行っているが、脳卒中や脊髄損傷で麻痺がある場合、細胞が発する危険信号を脳がキャッチすることができず、そのまま虚血状態(血が通わなくなった状態)が続いた結果、気づいた時には褥瘡ができていた、と、一般的にはこのような経過をたどると考えれば、より分かりやすいかもしれない。そこまで理解できれば、あとは、その血流を止めないようにすることが最大の褥瘡予防策であるということもお分かりいただけるだろう。次回は、なぜ母に褥瘡ができたのか、その原因を再検討してみたい。