コマネチ大学 #38 | シャブリの気になったもの

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コマネチ大学 #38
たけしのコマネチ大学数学科#38
2007/02/22 深夜OA

今回のテーマは、
「モンモール問題」

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1708年にフランスのモンモール氏がトランプ13枚を用いた問題に由来し、
あのオイラーが研究したことでも有名なんです。 (戸部アナ)


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中村先生からの説明。
よく切ったトランプのA,2,3,・・・・,J,Q,Kの13枚を二組用意し、
上から同時にめくっていく。最後まで同じ数字が出ない確率を求めよ
というのが「モンモール問題」という。


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Q: 問題

パーティーに参加した6人が、各自一つずつ用意したプレゼントを
交換しあいます。この時、自分の用意したプレゼントを貰うことがないような
交換の仕方は、全部で何通りあるでしょうか。


先生からのヒント:
1.コマ大のVTRをヒントに、少しずつ人数を増やして考える。
2.4人の場合を考える。そして何か漸化式が作れないかなぁとやってみる。


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A: 各チームの解答



◆コマネチ大学生の解答  (戸部洋子祭り!これは面白かった)


来る2月25日は戸部アナの誕生日。
そこで全員戸部さんになって、誕生パーティー。
6人で実際にプレゼント交換をして、場合の数を数えてゆく。(地道な作業)
交換するときには、ダウンタウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・
ヨコスカ」の曲に乗せて、「メガネの洋子・千葉県・検見川~~♪」と歌って
交換する。(笑える) 
最初に6人が輪になり、プレゼントを隣に回してゆく (5通り)
2人ずつペアで交換する (それぞれの組合せで、1通り)
次は3人の組を作り・・・・ 5時間後終了! 総時間6時間30分
答えは、265通り


◆マス北野の解答


全ての場合は、6!= 720通り。
ここから、問題に当てはまらない場合を引くことにした。が・・・
答えは、260通り




◆東大生の解答 

(番組では人をA,B・・品を1,2,・・としていたが、ここでは、
 人を、Aさん、Bさん、・・とし、持ってきたプレゼントを、a , b , ・・とする。)


AさんがBさんのプレゼントbをもらい、BさんがAさんのプレゼントaをもらう場合、
残り4つを4人で分けることになり、(C , D , E , F )さんにはそれぞれ、
( d , c , f , e ) ( d , e , f , c ) ( d , f , c , e )
( e , c , f , d ) ( e , f , c , d ) ( e , f , c , d )
( f , c , d , e ) ( f , e , c , d ) ( f , e , d , c ) と分けられ9通りある。 (*イ)
(※あとで解説に出てくるが、実はこれが4人の場合のモンモール数)


AさんがBさんのプレゼントbをもらい、BさんがCさんのプレゼントcをもらう場合、
残り4つを4人で分けることになり、(C , D , E , F )さんにはそれぞれ、
( a , e , f , d )  ( a , f , d , e )
( d , a , f , e )  ( d , e , f , a )  ( d , f , a , e )
( e , a , f , d )  ( e , f , a , d )  ( e , f , d , a )
( f , a , d , e )  ( f , e , a , d )  ( f , e , d , a ) と分けられ11通りある (*ロ)
BさんがDさん、Eさん、Fさんのプレゼントをもらう場合も、
(*ロ)の場合と同様なので、都合11通りの4倍あることになる。
(※あとで解説に出てくるが、実はこれが5人の場合のモンモール数)


つまり、AさんがBさんのプレゼントbをもらうときは、
(*イ) + (*ロ) x 4 = 9 + 11 x 4 = 53 ・・・ (*ハ)
Aさんがもらうプレゼントは、b , c , d , e , f の5通りなので、
(*ハ) x 5 = 53 x 5 = 265  <<=答え


正解は、265通り コマ大と東大生チームが正解である。


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先生の解説


交換の全ての場合の数は、マス北野の言ったとおり、6の階乗(6!)通りある。
6!= 6 x 5 x 4 x 3 x 2 x 1 = 720通り
問題になっている、1番目が1に来ない、2番目が2に来ないというものを
完全数列という。
この完全順列の組数が今日の問題であり、それをモンモール数という。
そして、n番目のモンモール数は、(n-1)番目、(n-2)番目のモンモール数から
求められます。



* --テロップ解説----------------------------------------------
* 
* [ 順列 (重複順列) ]
* n個の異なった要素から重複を許して
* m個の要素を選び出した順列の総数
*
* [ 完全順列 ]
* 1,2,3,・・・n の順列で、各数の順番がその数と一つも一致しない順列
* 例) 1,2,3,・・・・・・n
*    3,1,2,・・・・・・m   (m<n)
*
* ---------------------------------------------------------


完全順列で4人(A,B,C,D)の場合を考える。 (東大生が途中で出した数)


AがB~Dのプレゼントをもらう ・・・ 3通り


その3通りの中で、AがBのプレゼントをもらった時は、
  * BはAのプレゼントをもらった。
    残るC、Dのプレゼントは、C、Dさんが交換するしかない。・・1通り
                                    (2人の場合の数)
  * Bは、もらったAのプレゼントを、C、Dさんに渡してもいい。
    これはB、C、Dさん3人で交換するのと同じで、さらにC,Dさんが
    自分の物をもらわないとすると                 ・・2通り
                                    (3人の場合の数)


すると、4人が誰も自分のプレゼントをもらわない場合の数は、


   (AがB~Dのプレゼントをもらう場合の数) 
         x { (2人の場合の数) + (3人の場合の数) } 


 = 3 x ( 1 + 2 ) = 9通り


(※AがB~Dのプレゼントをもらう場合の数、の"3"は、
  4人の場合だから "(4-1)" と考えると後が楽)


同様に考えて表にしてみると、


人数(n) | モンモール数 | 漸化式を解いた式で・・
-----------------------------------------------------------
1 | 0 |
-----------------------------------------------------------
2 | 1 |
-----------------------------------------------------------
3 | ( 3 - 1 ) x ( 1 + 0 ) = 2 | 3 x 1 - 1
-----------------------------------------------------------
4 | ( 4 - 1 ) x ( 1 + 2 ) = 9 | 4 x 2 + 1
-----------------------------------------------------------
5 | ( 5 - 1 ) x ( 2 + 9 ) = 44 | 5 x 9 - 1
-----------------------------------------------------------
6 | ( 6 - 1 ) x ( 9 + 44 ) = 265 | 6 x 44 + 1
: | : |
: | : |
: | : |
: | : |
n | ( n-1 ) x ( an-2 + an-1 ) = an | n x an-1 + (-1)^n
-----------------------------------------------------------


つまり、n人の場合の数(モンモール数)は、
(n-1)人の場合の数と、(n-2)人の場合の数を足して、(自分以外)倍する。


* --テロップ解説----------------------------------------------
* 
* n人でプレゼント交換するとき、自分のプレゼントをもらわない公式
* 
* an = ( n - 1 ) x ( an-1 + an-2 )
*
* 問題のように6人の時は、
*   (自分以外) x { (5人の場合の数) + (4人の場合の数) }
*  =     5    x (    44      +      9      ) = 265    
* 
*  1つ前と、2つ前の数がわかればよい。
* ---------------------------------------------------------


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応用解説


では、問題のような場合がおこる確率はどれぐらいあるのだろうか。
 n人の場合を考える。


自分のプレゼントをもらう場合も入れた、全ての交換の場合の数は、
nの階乗通りある。 ( n!と表わす )  すると・・


  (n人の場合のモンモール数)/(全ての交換の場合の数 )
= an / n !


これは、次のように展開できる。


an / n ! = 1/0! - 1/1! + 1/2! - 1/3! + ・・・・・ + (-1)^n x ( 1/ n ! )

nを無限大にすると、この式は 1/e になる。
(eは自然対数の底で、2.718282・・・・)


1 / 2.718282・・・・ = 約37% 
37%の確率で、一人もプレゼントがダブらない、ということになる。


(補足)
オイラーの公式、e^(iπ) = -1 を出して自然対数の底 e の説明があった。
映画「博士の愛した数式」に出てくる式だと、マス北野が話す場面あり。


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今週のフィールド賞:東大生チーム


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★あとがき

お世話になっている、ガスコン研究所さんの
「コマネチ大学数学科39講:モンモール問題」では、4人の場合の解説が
絵つきでわかりやすい、ので紹介します。 (戸部さんの絵も素敵!)
http://gascon.cocolog-nifty.com/blog/2007/02/39_7405.html


最後の解説で、テーラー展開された式の上に、組合せの式が入った表が
あったが、時間が無く、カットされたようだ。残念!
詳しい解説は、下に紹介したサイトにもあるので参照されたし。
モンモールについての情報も、ちょっと調べてみたものを幾つか紹介します。


※モンモール
pierre Raymond de Montmort、フランスの数学者
1678年10月27日パリ生まれ、1719年10月7日没
彼の名前は、最初はPierre RémondまたはRaymondだった。
彼の父は法律家にしたかったが、逆らってイギリスおよびドイツを旅して
1699年にフランスに戻る。そのとき父から莫大な遺産をもらう。
その財産でモルモートの城を買う。
その時pierre Raymond de Montmortと名乗るようになる。
1715年にイギリス Royal Society のフェロー。
1716年にフランスの科学アカデミーのメンバー。
パスカルの三角形の名づけ親とも言われている。


「ウィキペディア」 英文・モルモートの説明
http://en.wikipedia.org/wiki/Pierre_Raymond_de_Montmort
「ウィキペディア」  仏文・モンモール(モルモート)地名
http://fr.wikipedia.org/wiki/Montmort


※この問題は、トランプ13枚を用いた問題がモンモール氏の問題で、
一般的に知られている「封筒とりちがえ問題」は、
オイラーらの研究したものであるらしい。

「日常生活のモンモール」
http://www2.ocn.ne.jp/~mizuryu/jyugyo/suugaku18.html


※封筒とりちがえ問題で紹介しているサイト
「雑学の散策」
http://members.jcom.home.ne.jp/sansakuro/Digressions/Htm/Digr_037.htm
「Izumiの数学」
http://www.hcn.zaq.ne.jp/cabpf204/etcetera/math/exam/toukou/2004_1.html
「物理のかぎしっぽ数式掲示版」
http://hooktail.maxwell.jp/cgi-bin/yybbs/yybbs.cgi?room=room1&mode=res&no=14088&mode2=preview_pc


※応用問題としてモンモール問題を紹介しているサイト
「数学談話室」
http://www.edu.gunma-u.ac.jp/~seyama/math.html


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講師:中村亨 
(1963年生まれ。東京大学大学院理学系研究科数学専攻修了、理学修士。)


解答者:
マス北野
木村美紀(東京大学薬学部3年)
松江由紀子(東京大学農学部3年)
コマネチ大学生


2007/02/22 深夜OA


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