世界の終わり。 | 長女Aは、夢を見る。

長女Aは、夢を見る。

長女A(満50歳)
父と同居を始めてみた。

大学生の息子×2
父の愛犬
ワタシの愛猫

楽しいことばかりじゃないと
重々考えてのことだったけど

想定以上の毎日に
もう笑うしかないわけで。

いや、ほんとは泣いて怒ってばかりだけどさ。

 

 

 

 

 

 

認知症の父との日々を書いています

現在、要介護1認定の父(77)との日々

 

認知症?と気づく少し前からのこと

レビー小体型認知症と診断を受けたあとのこと

今の日常のどーでもいいこと

 

書くことで

何かが変えられたらいいな、って

思ってるんでしょうね、ワタシは。
 

 

 

 

 

病院での

断定はまだ、の検査結果を聞いて

 

「俺は認知症ではない」と思い込む父。

 

そうだと思ったんだよにっこりーーー

 

って

 

嬉しそうに言ってたな。

 

 

 

 

 

それは

週が明けて

父が会社に来ない日の出来事だった。

 

 

珍しく「今日は家にいるわ」と言うので

ワタシは父を置いて出勤した。

 

 

なんて気が楽なんだ←ヒドイ

 

 

 

 

来ない理由はなんとなくわかった。

 

 

些細なことだが

 

前回会社に来たとき

 

他の職員もいる前で

日付と自分の名前を書類に書く機会があり

それに手惑いスッと書けなかった。

 

自分でもショックだったのかもしれない。

 

周りに教えてもらってやっと、書いた。

 

そういう姿をあまり見られたくない、と

後に言っていた。

 

 

 

 

 

 

実家のリフォームはほぼ終了し

毎日来ていた職人さんたちが

 

別の清掃の人や

立ち入り検査の人がポツポツ程度になり。

 

 

父はあいかわらずやることもなく

愛犬を散歩させた後は

のんびりテレビを観ていたのだそう。

 

 

 

 

 

 

お昼になるころ

会社で仕事をしていると

弟①の携帯に父から着信があった。

 

 

弟①は忙しいとわかっているため

何か用があれば

仕事中は

だいたい事務所にいる

ワタシの方にかけてくるのに

 

 

「珍しいな、親父からだ」

 

 

ハイハイーウインクと明るく応答した弟①だが

そのあとの様子がおかしい。

 

 

焦った声で

「親父、どうした?何

うん、え?何だって?」

 

 

真剣な顔でこちらを見ながら

 

 

「わかった、とりあえず姉貴

すぐ帰ってもらうわな。

ちょっと待ってて、家で

大丈夫だから出かけないでね!」

と父に優しく言った。

 

 

ワタシは

内容はまったくわからないけど

仕事の段取りをグルグル考え始めた。

帰らなければならない。

 

 

事務員さんに後を頼んで、だ。

 

 

電話を切って弟①は

 

 

「親父がおかしくなってしまったチーン

 

 

とワタシに言った。

 

 

ここまで、ワタシと弟①は

ほぼふたりで相談しながら

父のことを進めてきたのだが

 

元来の性格からか

 

あまり深刻に事態を受け止めないように

努めて明るくいるのが弟①で

 

ときにそれは現実逃避してない?と

思うこともあったけど

 

 

認知症への対応はそれでいいと思うし

キツイ娘と優しい息子で

今もやってるから

それでいい。

 

 

でも、そんな慌てる弟①を見るのは

こっちが逆にドキッとする。

 

 

 

父は弟①にこう言ったそうだ。

 

 

 

たいへんだ…

世界が変わってしまった

誰もいなくなった

ここにいるのは俺だけで

みんな消えてしまった

(だいたいこんな内容)

 

 

 


韓国ドラマ『世界の終わり』からお借り。

こんな風に見えたのかな…





実家は静かな住宅街の中の

長い坂を上った並びにあるのだけど

 

 

坂の下の

いつも行くドラッグストアへ行った帰り

ふと坂の途中で先を見ると

 

 

たまたまだと思うけど

 

 

人が誰も歩いていなくて

 

 

戸建てが並ぶ道も公園も

誰の声も音もしない

 

 

立ち止まって茫然としたらしい。

 

 

 

 

そして弟①に電話をかけた。

 

 

 

 

いないものが見える「幻視」ではなく

いつもはいるものがいない「妄想」?

 

 

 

診断が確定するより早く

ここからギュンと

状況は進んでいく。