2024年元旦、シャトーシノンは15時から特別営業をしていました。
16時過ぎに最初の揺れがやってきます。
お客様と「震源はどこ?また能登!」や「アラートならなかったね」などと話していると、携帯からアラートが一斉に鳴り出した。
今まで体感した事の大きな揺れ、棚から物が落ち、キャーという悲鳴が店内に響く。
長い揺れが収まったが、動揺が隠せない。
とりあえず、火元の確認とお客様の安否確認。
外に出た方が良いかと思い階段を見ると足の踏み場もないくらいワインやグラスが散乱していて、大変な事態に気がつきます。
あるお客様がテレビで様子を確認すると、女性の大きな声で「逃げて下さい!津波がきます!」が連呼される。益々不安がつのる。
お客様の職場や自宅が気になるので、外までの動線を確保し、帰ってもらう。
改めて店内を見てみると
カウンター内は装飾品やグラスが落ちている。
ワインセラーからワインが飛び出し、木樽も落ち、瓶が割れている。
大好きだった祖母の形見の招き猫が無惨な姿に。
割れたワインなどでアルコールの香りが充満し、どこから手をつけてよいかもわからない。
そして、気になる3階の様子を見に行くと、
本棚が倒れ、廊下が通れず、フロアに行けない。
3階は一旦諦めて、1階を見に行く。
1階は何一つ落ちてない。
とにかく階段を片付けて、場所を確保しようと少しずつ撤去する。
すると、階段を上がってくる足音が…
「〇〇新聞社ですが、取材大丈夫ですか?この辺りでシャトーシノンさんが1番被害があったと聞いたので」
誰がそんな事を言ったのかわからないが、とにかく人と話すと落ち着くので、店内に入ってもらった。
もちろん当店の被害など他のエリアに比べて大した事がないので、新聞には掲載されなかったが、人と話をする大切さを知る事ができた。
その後、いよいよ3階へ向かう。
通路を塞いでいた本棚を戻し、本を踏みながらフロアに向かうと驚きの光景が見えてきた。
棚にあったグラスやデカンターはほとんど落ちて破損し、冷蔵庫の扉が開いて中身が出ていて、ワインセラーからもワインが飛び出している。
開いてないワインセラーは50センチほど動いていた。
この棚には当店で高額なグラスが並んでいたが、棚には残っていない。
4つあったロマネコンティグラスは全部割れていた。
今後の営業、そして続く余震に不安を感じながらその日の作業をやめて、遅い夕食をとっているとまた足音が。
なんと陣中見舞いの差し入れを頂いた。
涙出るほど嬉しかった。
そして、また人と話が出来る事に喜びを感じながら、ビールを頂いた。
そんな中でも余震は5〜10分間隔で続き、ビクビクしながら過ごしていた。
明日から営業はどうしようと考えながら、その日は帰宅しました。