#C014 発表会 | クラシックギターの交差点

#C014 発表会

発表会当日、僕は仕事を早めにあがり会場に入った。
うわー!
30人くらいがそれぞれにギターの練習をしている。
すごい音。
控え室が無いので人間とギターケースやらで教室は足の踏み場もない。
教室の前方の中央がステージになっている。

先生が中央に立って挨拶をはじめた。
「さてみなさん、一年に―回の発表会がやってきました。
今回は会場が狭くやりにくいですが、我慢してください。
緊張で逃げ帰りたい人もいると思いますが打ち上げのビールはうまいので
がんばりましょう。」

笑いが起こる。

挨拶が終わり、演奏プログラムにはいった。
先生が名前をよんで生徒さんがステージへ。
緊張がはしる。

1番目はタレガのアラビア風奇想曲。
難曲だー。
緊張しています。
こっちまで緊張してきます。
ああ、緊張のおすそ分けはいらないんだけど。

後半に入り自分の番です。
ソルのエチュード、どうだっけって思い出そうとしますが
全然出てきません。
1時間位ステージを見て、いきなりギター弾くのは辛い。
準備練習はしていない。
えーい、ままよ。
ステージに行き椅子に腰掛け、自分の足台を置く。
ギターを抱えそしてフォームを作る。

「みなさんこんにちは、頭が真っ白になっちゃって
うまく弾けないかもしれませんが頑張ります。」

言い訳がましい挨拶をして演奏を始めた。
二の腕部分がやけに重い。
緊張している。
一杯の人間が自分を見ている。
意識しないようにそれを無意識に行っている自分がいる。
だからなのか、自分がいる場所が別空間みたいだ。

指は勝手に動いてくれる。
そうするために教え込んでいたのだから。
ソルのエチュードの後半からはなんとか波にのってきた。
クリスト・ファークロスのニューヨーク・シティー・セレナーデに入った。
アレンジは固まっていたのでスムーズに弾けた。
実は本番に強いタイプかも。

演奏が終わり、みなさんが暖かい拍手をくれました。
1ヶ月かけて練習したものがこの瞬間達成された。

発表会が終了して2次会の会場へ。
緊張から開放され達成感でみんなの顔も輝いています。

そうそう、だから打ち上げのビールは美味いんですよ。