分かちあいたい幸せ

 

 

 

 

 

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                しあわせって?

 

              はたからみていて

            はて、どうしてそれくらいでって?

                 何気なく

             そう思うことってありますよね。

 

           趣味の合う異性の知人のお話をひとつ。

               いたしましょう。

 

                わけあって

                女手ひとつで

             一粒だねの娘さんを育てられた。

 

             その娘さんが年頃になり、結婚。

            女の子ひとり、男の子ふたり授かった。

 

            当然ながら、知人は娘の応援団長。

                孫の成長を

             幼い時から見守ってきた。

 

              大変だったのは、塾の送迎。

            送り届けてのち、授業が終わるころ

              再び迎えに行く。

 

                主要五科目。

               学習時間が長い。

            終えるのが午後十時を過ぎた。

 

                 365日。

             ほぼ毎日、それを繰り返した。

                雨の日も風の日も。

            夏の暑さにも冬の寒さにもめげずに。

 

                 この春

              一番下のお孫さんが見事

               第一志望高校に合格。

 

              横になると眠ってしまう。

                 だから

             テレビを観たり、濃いコーヒーを

              すすったりして、しのいだ。

 

             「とにかく娘のため、孫のため」

               頑張ってこられた。

 

               この厳しい冬の夜も。

               塾の駐車場で

               彼が出てくるまで

            エンジンのかかっていない車の中で

               厚手の毛布にくるまり

               塾の玄関先をみつめた。

 

         「もう遅くまで起きていることもないですね」

                  「はい」

              知人は満面に笑みをうかべた。

 

             「母の日」が近づいたこの日曜。

              たくさんの花々と野菜の苗が

               彼女のもとに届けられた。

 

               いちばん上の孫娘さんは

              この春、大学二回生になった。

 

               ほぼ二十年にわたり

            子や孫の幸せのためにとがんばった。

 

 

              これからの知人の人生に

                 幸あれ。