ひなあられ。
だってね。
きょうだいは男ばかり、
節句に武者人形はなく、
鯉のぼりばかり。
それも小さかった。
おとなりさんは八百屋さん。
ひとつ年下の女の子がいたから、ちょく
ちょく遊びに出かけた。
ひなまつりをやったけれど、
時代はそれほど豊かじゃなかった。
昭和三十年代のこと。
今のように、ものが豊富になかった。
でもね、
子どもはそれなりに知恵をしぼった。
土をこねて、人形を作ったり。
今は何だってお金を出せば買えたりする。
でも、何かが足りない気がする。
いたいけなはずの子どもが変質してしまうのを目にするのはつらい。
それはなぜだろう。
天真爛漫。
生まれてきたままで、のびのび育ってもらいたいものだ。
そうすれば、もう少しましな人間さまが増えるかも。
もちろん、わたしも含めてのことですけどね。