〖獄寺夢〗俺の気持ちが壊れる前に | 暗殺者の王子様に恋をした...。

暗殺者の王子様に恋をした...。

この想いは届かない

貴方は私だけのものにならない

どんなに結び直しても

この紅い糸の先に貴方はいない

それでも私は貴方を想い続ける。



――――俺の気持ちが壊れる前に――――



そんな顔で笑うんじゃねぇ!

お前のその顔が頭から離れねぇんだよ。

俺と話す時も、10代目と話す時も、野球バカと話す時も・・・

お前は同じ笑顔を見せて、同じ瞳で見つめる。


イラついて、タバコを灰皿にねじ込んだ。

新しいのを出そうとすると、お前は注意するようにタバコを奪う。


俺にとって問題はそこじゃねぇ。

覗き込むように下から見やがるから、上目使いになってんだよ・・・!

タバコを取る時に当たった手が熱く感じる。

他の奴と話すお前が煩ぇから、その唇を塞ぎたくなる。


くそっ・・・

何なんだよ、この気持ち。



「獄寺くん、またサボってたの?

綱吉くん達が探してたよ。」



じゃあ、何でお前が来たんだよ?

こんな誰もいねぇ屋上なんか普通来ねぇだろ。



「買い物があるって言ったら、

山本くんがみんなで一緒に帰らないかって言ってくれたの。

だから、今日は私も一緒に帰るんだけどいいかな?」



野球バカが・・・

あいつも俺と同じ目でお前を見てるからな。

きっとお前は野球バカの気持ちにも気付いてねぇんだろ?



「早く行こ?」



そう言って隣で見つめてきたお前を思い切りフェンスに押し付ける。

お前、警戒心なさすぎんだよ!

誰でも簡単に信用しやがって・・・

こんな事してもキョトンとした表情で見つめてきやがる。

お前の瞳に浮かぶのが恐怖だったら、何もかも奪えたのによ・・・。



「悪ぃ・・・。」



気が付けばお前は腕の中にいた。

腕の中にいるお前は想像以上に小さく感じる。



「どうしたの?獄寺くん。」



ホント鈍感だな・・・

俺の気持ちが壊れる前に気づきやがれ。



「少しだけこうしといてくれねぇ?」



煩ぇ心臓を無視して、更に強く抱きしめた。








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御題:俺の気持ちが壊れる前に

御題サイト:キミの花を咲かせよう さんからお借りしました。