「もしかして私はこの『慢性疲労症候群』じゃないかな?」と思ったときにどこへ行けばいいか?
専門医のいない病院で慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)の確定診断を受けることは難しいのが現状です。


 


専門医は、「厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業)(神経・筋疾患分野)「慢性疲労症候群の病因病態の解明と画期的診断・治療法の開発」研究班に属している医師や、日本疲労学会からたどるなどしないと見つかりにくくなっています。


 


 

慢性疲労症候群を診断できる病院とは

 


「あなたは慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎ですね」と確定診断できるのは、基本的には専門医がいる医療機関だと考えてください。


慢性疲労症候群の診断基準 2016とPS値とは という記事に書いたように、慢性疲労症候群は定められた診断基準を満たすことで確定診断に至ります。


診断基準を見ていただくと分かる通り、現状では客観的な指標がありません。
つまり一般医で受けられる採血などの各種検査で「この検査のこの項目でこの値が出れば慢性疲労症候群!」というものがないため、専門医以外の医師が慢性疲労症候群の確定診断をつけることが難しいのが現状です。


 


 

慢性疲労症候群以外の病気を否定する「除外診断」

 

症状が出始めて6ヶ月以上経たないと慢性疲労症候群の確定診断はできない

 


筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)臨床診断基準(案) (2016年3月改訂) を見ると、こう書かれています。

Ⅰ.6ヵ月以上持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める
(医師が判断し、診断に用いた評価期間の50%以上で認めること)


1. 強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下*
2. 活動後の強い疲労・倦怠感**
3. 睡眠障害、熟睡感のない睡眠
4. 下記の(ア)または(イ)
(ア)認知機能の障害
(イ)起立性調節障害


Ⅱ.別表1-1に記載されている最低限の検査を実施し、別表1-2に記載された疾病を鑑別する
(別表1-3に記載された疾病・病態は共存として認める)


 


*:病前の職業、学業、社会生活、個人的活動と比較して判断する。体質的(例:小さいころから虚弱であった)というものではなく、明らかに新らたに発生した状態である。過労によるものではなく、休息によっても改善しない. 別表2に記載された「PS(performance status)による疲労・倦怠の程度」を医師が判断し、PS 3以上の状態であること。
**:活動とは、身体活動のみならず精神的、知的、体位変換などの様々なストレスを含む。


 

「Ⅰ.6ヵ月以上持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める」とありますよね。


つまり専門医にかかるにしても症状が出始めてから6ヶ月以上経たないと、慢性疲労症候群の確定診断はできません。


じゃあそれまでどうするんだ?というと、慢性疲労症候群以外の病気ではないことを検査で証明していきます。これを「鑑別診断」「除外診断」「慢性疲労症候群以外の病気を否定する」と言います。


 


「鑑別診断」「除外診断」「慢性疲労症候群以外の病気を否定する」というのは、
「別表1-1. ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査」に挙げられている検査を行なって、

別表1-1. ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査


(1) 尿検査(試験紙法)
(2) 便潜血反応(ヒトヘモグロビン)
(3) 血液一般検査(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像)
(4) CRP、赤沈
(5) 血液生化学(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖)
(6) 甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体
(7) 心電図
(8) 胸部単純X線撮影

 


下記の「別表1-2. 鑑別すべき主な疾患・病態」にある疾患・病態「ではない」ことをひとつずつ確認していく作業です。

別表1-2. 鑑別すべき主な疾患・病態


(1) 臓器不全:(例;肺気腫、肝硬変、心不全、慢性腎不全など)
(2) 慢性感染症:(例;AIDS、B型肝炎、C型肝炎など)
(3) 膠原病・リウマチ性、および慢性炎症性疾患:
(例;SLE、RA、Sjögren症候群、炎症性腸疾患、慢性膵炎など)
(4) 神経系疾患:
(例;多発性硬化症、神経筋疾患、てんかん、あるいは疲労感を惹き起こすような薬剤を持続的に服用する疾患、後遺症をもつ 頭部外傷など)
(5) 系統的治療を必要とする疾患:(例;臓器・骨髄移植、がん化学療法、 脳・胸部・腹部・骨盤への放射線治療など)
(6) 内分泌・代謝疾患:(例;糖尿病、甲状腺疾患、下垂体機能低下症、副腎不全、など)
(7) 原発性睡眠障害:(例;睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなど)
(8) 精神疾患:(例;双極性障害、統合失調症、精神病性うつ病、薬物乱用・依存症など)

 


なぜかというと、

  • 微熱
  • 倦怠感
  • 疲れやすい

で始まる病気は数え切れないほどあるからです。


 


もしかするとあなたの体調不良は慢性疲労症候群ではなく、治療の方法が確立されている他の病気かもしれません。


「微熱が続く」「疲れやすい」などでネットで検索していて偶然、慢性疲労症候群という病気を知って、「もしかしてこれじゃないか」と思う人のうち、専門医を受診して慢性疲労症候群と診断される人はとても少ないのです。
大半が別の病気なのです。


そうすると、本来受けられるはずだった治療を受ける機会を逃してしまいます。


 


「慢性疲労症候群」という病名にたどり着く方は様々な意味で追い詰められていることが多く、「きっとこの病気に違いない」と思いやすいですが、そう思い込んでしまわずに他の病気でないか?を医師と一緒に鑑別・除外していきましょう。


慢性疲労症候群の場合、症状の重症度に見合わないくらい「別表1-1. ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査」で示されている一般的な検査では異常が出ません。検査結果上はとても健康な人なのです。こんなにしんどいのにどうして異常が出ないの?!と泣きたくなるほどです。私は検査結果を見ては異常が出てくれないことに泣いていました。


 


ただ、他の疾患でも発症初期は症状に見合う検査結果が出ないことがあります。
ものすごくしんどくて、ものすごく痛いのに、血液検査で異常が見つからないということは他の疾患でもよくあるのです。


そのために「経過を見ていく」という期間があります。
経過を見ているうちに、その疾患に特徴的な症状や検査結果が出るようになって確定診断に至るものがたくさんあります。
医師が「経過を見ましょう」「様子を見ましょう」と言うのはそういった理由があるためです。


 


RA(関節リウマチ)などの膠原病や多発性硬化症やCIDPなどの神経難病も、症状が先行して、診断がつくまでに時間がかかることがあります。


あなたの体調不良の原因を医師と一緒に、年~月単位で根気強く探していきましょう。


 

慢性疲労症候群と線維筋痛症などの併発は認められる

 


ただし、「共存を認める疾患・病態」ということで、慢性疲労症候群と同時に起こると認められている疾患もあります。


下記の疾患はそれぞれ慢性疲労症候群とは別の疾患・病態として対処の仕方があるので、医師と相談してください。

別表1-3. 共存を認める疾患・病態


(1) 機能性身体症候群(Functional Somatic Syndrome: FSS)に含まれる病態線維筋痛症、過敏性腸症候群、顎関節症、化学物質過敏症、間質性膀胱炎、機能性胃腸症、月経前症候群、片頭痛など


(2) 身体表現性障害 (DSP-IV)、身体症状症および関連症群(DSM-5)、気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除く)


(3)その他の疾患・病態
起立性調節障害 (OD):POTS(体位性頻脈症候;postural tachycardia syndrome)を含む若年者の不登校


(4)合併疾患・病態
脳脊髄液減少症、下肢静止不能症候群(RLS)

 


 

まとめ

 

  • 現状では慢性疲労症候群の診断に至る客観的な指標がない
  • 一般医で受けられる採血などの各種検査で「これが出れば慢性疲労症候群!」というものはない、そのため専門医でないと慢性疲労症候群の確定診断をつけることが難しい
  • まずは除外診断をもれなく受けて、他の疾患でないことを確認することが大事

 


 

 


慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)には診断基準が決まっており、この基準を満たすと確定診断を受けることができます。


 

慢性疲労症候群の診断基準とは

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)臨床診断基準(案) (2016年3月改訂)

Ⅰ.6ヵ月以上持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める
(医師が判断し、診断に用いた評価期間の50%以上で認めること)

1. 強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下*
2. 活動後の強い疲労・倦怠感**
3. 睡眠障害、熟睡感のない睡眠
4. 下記の(ア)または(イ)
(ア)認知機能の障害
(イ)起立性調節障害


 

Ⅱ.別表1-1に記載されている最低限の検査を実施し、別表1-2に記載された疾病を鑑別する
(別表1-3に記載された疾病・病態は共存として認める)

*:病前の職業、学業、社会生活、個人的活動と比較して判断する。
体質的(例:小さいころから虚弱であった)というものではなく、明らかに新らたに発生した状態である。過労によるものではなく、休息によっても改善しない. 別表2に記載された「PS(performance status)による疲労・倦怠の程度」を医師が判断し、PS 3以上の状態であること。


**:活動とは、身体活動のみならず精神的、知的、体位変換などの様々なストレスを含む。


 

別表1-1. ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査

(1) 尿検査(試験紙法)
(2) 便潜血反応(ヒトヘモグロビン)
(3) 血液一般検査(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像)
(4) CRP、赤沈
(5) 血液生化学(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖)
(6) 甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体
(7) 心電図
(8) 胸部単純X線撮影


 

別表1-2. 鑑別すべき主な疾患・病態

(1) 臓器不全:(例;肺気腫、肝硬変、心不全、慢性腎不全など)
(2) 慢性感染症:(例;AIDS、B型肝炎、C型肝炎など)
(3) 膠原病・リウマチ性、および慢性炎症性疾患:
(例;SLE、RA、Sjögren症候群、炎症性腸疾患、慢性膵炎など)
(4) 神経系疾患:
(例;多発性硬化症、神経筋疾患、てんかん、あるいは疲労感を惹き起こすような薬剤を持続的に服用する疾患、後遺症をもつ 頭部外傷など)
(5) 系統的治療を必要とする疾患:(例;臓器・骨髄移植、がん化学療法、 脳・胸部・腹部・骨盤への放射線治療など)
(6) 内分泌・代謝疾患:(例;糖尿病、甲状腺疾患、下垂体機能低下症、副腎不全、など)
(7) 原発性睡眠障害:(例;睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなど)
(8) 精神疾患:(例;双極性障害、統合失調症、精神病性うつ病、薬物乱用・依存症など)


 

別表1-3. 共存を認める疾患・病態

(1) 機能性身体症候群(Functional Somatic Syndrome: FSS)に含まれる病態線維筋痛症、過敏性腸症候群、顎関節症、化学物質過敏症、間質性膀胱炎、機能性胃腸症、月経前症候群、片頭痛など


(2) 身体表現性障害 (DSP-IV)、身体症状症および関連症群(DSM-5)、気分障害(双極性障害、精神病性うつ病を除く)


(3)その他の疾患・病態
起立性調節障害 (OD):POTS(体位性頻脈症候;postural tachycardia syndrome)を含む若年者の不登校


(4)合併疾患・病態
脳脊髄液減少症、下肢静止不能症候群(RLS)


 

慢性疲労症候群のPS値とは

慢性疲労症候群のPS値とは慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)の重症度の目安であり、患者の身体状況を評価する尺度「パフォーマンスステイタス」として使われています。


 

別表2. PS(performance status)による疲労・倦怠の程度(PSは医師が判断する)

0:倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる
1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感ずるときがしばしばある
2:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である
3:全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*1
4:全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*2
5:通常の社会生活や労働は困難である。軽労働は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である*3
6:調子の良い日には軽労働は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息している
7:身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である*4
8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している*5
9:身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている


疲労・倦怠感の具体例(PSの説明)
*1 社会生活や労働ができない「月に数日」には、土日や祭日などの休日は含まない。また、労働時間の短縮など明らかな勤務制限が必要な状態を含む。
*2 健康であれば週5日の勤務を希望しているのに対して、それ以下の日数しかフルタイムの勤務ができない状態。半日勤務などの場合は、週5日の勤務でも該当する。
*3 フルタイムの勤務は全くできない状態。
ここに書かれている「軽労働」とは、数時間程度の事務作業などの身体的負担の軽い労働を意味しており、身の回りの作業ではない。
*4 1日中、ほとんど自宅にて生活をしている状態。収益につながるような短時間のアルバイトなどは全くできない。ここでの介助とは、入浴、食事摂取、調理、排泄、移動、衣服の着脱などの基本的な生活に対するものをいう。
*5 外出は困難で、自宅にて生活をしている状態。日中の50%以上は就床していることが重要。


(以上)


 

 

「ただの風邪」「休んだら治る」と思っていた人が多い

慢性疲労症候群を発症するきっかけはいくつかあります。
また、発症時の状態も人によってたくさんのバリエーションがあるので「こんな発症のしかたなら慢性疲労症候群です」と一概には言えません。


 


ですが、のちに慢性疲労症候群の確定診断を受けた人の話を聞いていると、もともと健康で病気知らずだったという人が多く、そのためか「休んだら治ると思っていた」という人がとても多いのです。


「なんでそんなにのんきだったのー?!」と叫んでしまうことが多々あります^^;


微熱と倦怠感(だるさ)で始まる疾患はとてもたくさんあり、膠原病やがんなど重篤な疾患の始まりであることも多いからです。


 


休んで治ればそれに越したことはありませんが、そうでないことも多いので必ず病院を受診しましょう。


 

微熱やだるいのが一週間以上続いたら病院を受診しよう

 


私の場合は風邪を引いたのが慢性疲労症候群になった、最終的なトリガー(引き金)だったと思います。
それまで過労が蓄積したところに、風邪を引いたのが決め手になったというか。


 


何かおかしいなと思ったのは、風邪は治った、つまり咳など他の風邪症状が治まったのに、微熱と仕事に行けないほどの底知れぬだるさ・倦怠感がまったく治まらなかったことでした。


「これは何かおかしい」
「風邪以外の何かが起こっているかも」


と判断したのがだいたい一週間経った頃です。


 


重い風邪の場合ならすっきりするまでに三日間くらいかかることはありますよね。
しかし、微熱やだるさが一週間以上続くのは風邪以外の何かがあるかもしれないと、一度は疑うほうがいいように思います。


 

微熱やだるいのが続く場合は何科を受診する?

 


微熱やだるさが続く場合は何科を受診すればいいか?ですが、まずはかかりつけ医やお住まいの近くにある内科を受診しましょう。医療機関によっては総合診療科を指定されることもあります。


内科や総合診療科で経過と現状を話して一般的な検査を受けてください。


 


また、微熱やだるさ以外の症状があればそれも忘れずに伝えましょう。
具体的には、今までできていたことができない、などです。
私の場合は筋力が低下したり、時間帯によってスプーンが持ち上げられなくなりました。


 


そして、このときの診察券や領収証、検査結果(患者用にもらったもの)、診断書(あれば)などは念のため保管しておくのがおすすめです。


治るのが一番良いのですが、もしあなたが慢性疲労症候群であれ何であれ、のちに何かの病気であることがわかって働けなくなることもあります。
働けなくなったときのセーフティーネットのひとつに障害年金があります。
障害年金を申請するときに「初診時の証明」として受診した証明が必要になるので保管しておいてください。


 

まとめ

 

  • 微熱やだるさが一週間以上続くなら必ず病院を受診しよう
  • 内科や総合診療科で経過と現状を話して一般的な検査を受けよう
  • 今までに経験したことがない症状がある場合は受診時に必ず伝えよう
  • このときの診察券や領収証、検査結果(患者用にもらったもの)、診断書などは念のため保管しておこう