「慢性疲労症候群には誤診が多い」とSNSで見ました。
それについて私の考えを書いてみます。
慢性疲労症候群には誤診が多い?!
前回、「慢性疲労症候群の診断ができる病院は?あなたは別の病気かもしれません」という記事の中で、治療の方法が確立されている他の病気かもしれないので、まずは除外診断をもれなく受けて、他の疾患でないことを確認することが大事だと書きました。
この「他の疾患でないことを確認する」ことを鑑別診断や除外診断といいます。
そうして鑑別診断を経て慢性疲労症候群と確定診断をされた方の中で、「精神疾患だと誤診された」「ムダな治療を受けさせられた」という苦情をよく耳にします。
一般的な検査で異常が見つからない、専門医でないと確定診断を行ないにくいという状況のため、そういうこともあるだろうと想像できます。
誤診って何だろう?
ここで立ち止まりたいのは「誤診」とはどういうことなのか、です。
冒頭で書いたように「慢性疲労症候群には誤診が多い」とネット上に書いている人が言う「誤診」がどういう状況を指しているのでしょうか。私はそこを見誤らないことが大事だと思います。
おそらく、
- 違う病名がついていた
- 違う病名に基づいて何らかの治療行為を受けていた(投薬、処置、手術など)
という状況ではないでしょうか。
そんな中、経過を見ているうちに主治医またはあなた自身が「何か違うぞ」と感じて専門医の診察を受けた結果、慢性疲労症候群だと診断された。
ほら、それまでの診断は誤診だったじゃないか!今までムダな年月と的はずれな治療を受けさせられた!というところでしょう。
納得がいかないですよね。
長期間の経過をみて初めて確定診断がつく疾患は山ほどある
貴重な人生の一部分をムダにした、本来飲む必要のない薬を飲まされた。
そう怒りを覚えることもあるだろうと思います。
…と、なぜ私がこんなに他人ごとのように書いているかというと、私は「誤診」だと言い切れないと感じているからです。
「そりゃアンタはさっさと診断がついたでしょうからね!」と思われるかもしれません。
実際に他の患者さんから「あなたも悩んだとは思わなかった」と言われることもありますが、私は確定診断がつくまでに発症から約5年かかっています。
診断基準に照らし合わせるには最低でも半年間の経過を見る必要がある
残念ながら、確定診断がつくまでに年月単位の時間がかかるのは慢性疲労症候群に限ったことではありません。
長期間の経過をみて初めて確定診断がつく疾患は山ほどあるのです。
何らかの検査や投薬をする場合には、その診療報酬に合致する病名をつける必要があるという診療報酬のしくみ上、暫定的な診断名が必要である事情もあります。
また、慢性疲労症候群は、発症したと思われるときから少なくとも半年経過していないと診断ができません。
慢性疲労症候群の診断ができる病院は?あなたは別の病気かもしれません
確定診断がつくまでの間、どうやって学校や仕事を休むのか?という問題もあります。
便宜上、何らかの病名をつけて診断書を出す、あるいはこの疾患だろうとあたりをつけて治療をしてみて良くなるかどうかを見ていくというのが現実的であり、他の疾患でも行われていることです。
そうした対応を必ずしも誤診とは決めつけられない、というのが私の意見です。
現実的な対処をしながら、それでも状況が好転しないならば他の病気を疑って主治医に再検査を依頼する、他の医療機関にかかってみることも大切。なんだかよくならないな、というのを放置しないようにしましょう。
まとめ
- 現状では客観的な指標がない、つまり一般医で受けられる採血などの各種検査で「これが出れば慢性疲労症候群!」というものがないため、専門医以外は慢性疲労症候群の確定診断をつけることが難しい
- まずは除外診断をしっかりと受けて、他の疾患でないことを証明していくことが大事
- 「どうも違うような気がする」と思ったら他の疾患を疑ってみる
- 慢性疲労症候群だけでなく病気の診断がつくまでは時間がかかることも多いので「誤診だ」「精神疾患扱いされた」と感情的にならないこと(「扱い」だなんて精神疾患の方にも失礼です)