日曜日ブログ担当の小山です。
いつも自分が建築会社のブログを書いていることを忘れてしまい全く関係ないブログになってしまっているのですが、本日は珍しく建築の話です。
以前お付き合いのあったお客様から『〇〇(会社名は伏せます)という建築会社で建築しているのですがトラブルになっている』という相談を持ち掛けられました。内容を聞くと引き渡し時期に関してのトラブルでした。予定していた期日に終わらないとのこと。実はその建築会社には前職に在籍時に私個人が担当しただけでも3年くらいの間で、建物建築を通算約10棟ほど依頼したことがある会社でした。会社としてであれば何十棟と依頼しております。
建築コストが安く、ある程度間取りや仕様の融通が利くため会社としても、私個人としても〇〇という会社に建築をお願いしておりました。ただとにかくお願いしたことへの反応が遅く、また印象としては営業と現場監督、そして現場の職人とのつながりがかなり弱い印象を持っておりました。
たしかに建物着工から完成までは規定通りのスピードで施工されます(但し現場が全く動かない日々が続くかと思えば、突然人数を入れて突貫工事だったりで帳尻を合わせる感じです)。ただ、施主としては請負契約をしてから建物だけでなく外構工事完了後の建物全体の引き渡しまでを『住宅購入』と位置付けていると思うのですが、契約後の『打合せ』やその後の『建築確認申請業務』、また建物完成後の『外構工事』を別の物との認識をしているようで、各々の立場で自分には関係ないとただただ目の前の与えられている業務のみを行うため、全体として着工及び工期が遅れ、建物施工自体は通常工期であろうとも、結果、建物完成又は引渡しが間に合わなかったりその後の外構工事が引っ越し後の工事になったりと結果クレームにつながるという事態が多々勃発します。またこれに関して悪びれていないのがさらに問題で、ある意味救いようがありません。どこに原因があろうと施主には関係ありませんので、カバーできるところでするのが通常かと思いますが、現場監督などはそもそも自分には関係ないと急ぐそぶりもありません。営業は現場が始まれば基本的に関係ないと無関心。私個人の担当した現場でも揉めなかったのは2割くらいで、その他については、ぎりぎり又は施主と引き渡しで揉めて大炎上しております。他の社員が依頼した現場でもかなりの数が揉めておりました。
『建築にかかわる人にはホスピタリティーが必要である!!』
と思います。そもそも誰のための建築工事なのかが抜けている状態で行う仕事をしていて『プロとしてのプライドはあるのか!』と言いたいです。
確かにお金は重要です。安いに越したことはありません。例えば飲食店など単価の安いものの場合、気に入らなければ二度とその店に行かなければよいのですが、建築となると一生に何度も行うものではありません。ホスピタリィーのない人たちに囲まれたなかでの契約後打合せから施工状況を見守る中での施主のストレスたるや尋常ではありません。契約してしまったら途中でどんなに嫌になっても付き合っていくしかないのが現状です。
総てのローコストメーカーが悪いと言っているのではありませんが、私のかかわったメーカーは家自体の酷さというより建築中の対応の酷さが目立ちました。とにかくローコストで建てているので数をこなさなければならず。単純にキャパオーバーなのだと思います。営業はとにかく契約をするのですが、ちょっとした問題でも対応が後手後手にまわり、着工をなかなかしないのは当たり前。現場監督としてはそれは営業のせいであり自分は関係ない。職人としては監督からの指示がないから自分は関係ない。営業は自分のせいではなく周りの状況等のせいなのでしかたがないとある意味開き直っておりました。あくまで施主ありきの建築かと思うのですが、携わる人誰一人そこを意識していない。建物自体は可もなく不可もなく完成はするのですが、その過程がやはりひどい状態でした。
百歩譲って遅れてしまうのは致し方ないとしても、せめて、どういう工程で段取りをしているか、実際の完成がいつになるのかを教えてほしいとお願いしても、明確な返事はなく、ただただ現場を見守るしかない状態が続いてしまい、本当に完成ぎりぎりにならないと残金決済や引き渡し及び引っ越しの段取りも組めない。なぜ工程を教えることすらできないのか疑問です。
あまりに埒が明かないので、上席や本社にまで連絡を入れたこともあるのですが、対応どころか折り返しの連絡さえない始末。そもそもこの状態は会社としての責任なのだと痛感しました。役職に就くものでさえ電話連絡一つできない有様です。
ローコストで建てるという事は、単純に職人さんたちの人件費等もかなり抑えられています。その中であたえられた以上の仕事を要求するのは無理がありますし、そもそも有能な職人さんたちはあまりに単価が低い場所では働きません。ローコストで経済的に恩恵を受けたのであればある意味これは施主の自己責任の部分もあります。物には適正価格が存在します。『住宅』という高額な商品を購入する際にこの部分はよく考えてみていただきたいと思います。
ちなみに前職の会社が発注者としてこの〇〇という会社に依頼して建てた住宅の引き渡し後、不具合等があった時の対応なのですが、行わないという事はないのですが、やはり対応は遅すぎです。結局購入者に迷惑をかけられないので、前職の会社で私が職人を手配し工事の立ち合い等も行い、その請求を〇〇にしたという事も何度もありました。本来建設会社が行うべきところなのですが、とにかく対応が遅い。『ローコスト住宅=薄利多売』のためそもそもスタッフの数も足りていなく、この状態が続くようであれば今は会社の規模が大きくてもいずれ淘汰されていくような気もします。
建築に携わるには当然経験や知識は必要です。ただしこの業界に長くいる私個人の意見としてはホスピタリィーが一番大事かと思います。むしろ下手に経験と知識がある愛のない人よりも、新人であろうが未経験であろうがホスピタリィーがある人の方がよっぽど良い仕事をしますし現場はうまく回ります。そもそも何とかしようと思わなければ何事もうまくいかないからです。考え方が大事だという事です。これはその会社の風土からくるもので、結局のところ社長次第なのです。
私は前職及び現職で、建築を自身で行う立場も、建築を他社に発注する立場も両方経験しております。それぞれの立場での職人や営業、監督も見てきました。上記のような〇〇という会社の対応を実体験で何度もやられてしまったのもありますが、同じ思いを他の方にさせないためにも、南青山建築工房ではホスピタリィーを大事にし、スタッフ、職人ともども綿密な連携を取り合い、建築を依頼した方の想いを理解しながら喜ばれる仕事をしていきたいと思います。