ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。私たちは東の方でその星を見たので、その方を拝みに来ました。
「贈り物」(英文)1993年4月、トーマス・S・モンソン、大管長会
我が家の片隅に、握り部分を銀のめっきを施した小さな黒いつえがしまってあります。かつては遠い親戚の人が使っていたものですが、私が60年もの間それを取っておいたのはなぜだと思いますか。これには特別な理由があります。まだ幼いころ、ワード部のクリスマス劇に出たことがありました。3人の博士のうちのひとりの役をもらった私は、頭にはスカーフを巻き、肩には母のピアノの椅子カバーを羽織り、手にはその黒いつえを持って、自分のせりふを言いました。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、その方を拝みにきました。」(マタイ2:2)今ではその劇のせりふの一部しか覚えていませんが、3人の博士になって星を見上げ、舞台の上を歩き回り、幼子イエスを抱いたマリヤを見つけ、ひざまずいてイエスを拝し、そして黄金・乳香・没薬などの贈り物を捧げた時に感じた気持ちは、今も鮮明に心に残っています。
私はとりわけ、私たち3人の博士が幼いイエスを裏切って邪悪なヘロデ王の所へ戻らず、神に従って違う道を行くという筋書きが大好きでした。
瞬く間に時は過ぎ去り、忙しい日々の出来事もいつしか思い出に変わっていきます。しかし、あのクリスマスのつえは、今も変わらず我が家の特別な場所にしまってあり、そして、キリストに従うという強い決意は心の中に秘められています。
