マタイ8:20
イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。
「謝辞」1980年4月教会設立150周年郵便はがき発行記念行事、エズラ・タフト・ベンソン、十二使徒定員会
このソルトレーク神殿は, 約40年にわたる建築期間中に2世代の職人が働き, また約1トンから2.5トンもある巨大な石材は,神殿まで30キロの道のりを牛車で運ばれてきたものです。そして, このひとつの石の加工に1カ月も費やしたことがありました。当時の神殿の主任建築士トルーマン・エンジェルは, 生涯の仕事として神殿の設計と建築に打ち込んでいました。本当に心打たれる思いです。と同時に, この神殿は他の神殿と同じように単なる建築物として建てられたのではありません。主の宮居として献堂されたものなのです。このことが最も大切なことです。
救い主は, この地上で福音を宣べ伝えておられた時, 私たちをはっとさせるような言葉を述べられました。「きつねには穴があり, 空の鳥には巣がある。しかし, 人の子にはまくらする所がない。」(マタイ8:20) 多くの人々はこの聖句を読んで, イエスには自分の家も住居もなかったのだと思っています。しかし, 次のような解釈も考えられます。当時, 啓示によって与えられ, 主の宮居として奉献されたソロモンの神殿は破壊されていました。そして同じ場所に別の神殿が建てられていました。しかし, この神殿もひどく汚されていました。そこでイエスは, 神殿とその庭から両替人たちを追い出して次のように言われました。『わたしの家は, 祈の家ととなえられるべきである』と書いてある。それだのに, あなたがたはそれを強盗の巣にしている。」(マタイ21:13) 確かにその時, 人の子が枕を置いて寝る所がありませんでした。献堂され,嘉納された主の宮居がなかったからです。
1853年4月6日,ソルトレーク神殿のすみ石が据えられた時も, まだ献堂された主の宮居はありませんでした。ブリガム・ヤング大管長はその献堂式の話の中で次のように述べています。「今日,私たちはなぜここにいるのだろうか。… … いと高き神に捧げる神殿の基を据えるためである。そして,私たちの長兄, 神の御子が再びこの地上を訪れたもう時,枕を置いて寝る所があるように備えるのである。」(Discourses of Brigham Young「ブリガム・ヤング説教集」p.417)
ソルトレーク神殿だけでなく,教会のすべての神殿は末日聖徒にとって,神の御子の住む所,主の宮居を象徴しているのです。
きょう, 私たちは先祖の開拓者の先見の明とビジョンに心からの感謝と敬意を表したいと思います。と同時に, この聖なる神殿の儀式に携わる特権と祝福が与えられていることを神に感謝しています。またこの神殿の絵を描いて下さったアーノルド・ブリーバーグ氏と今回のソルトレーク神殿記念郵便はがきの発行に尽力して下さった郵政省の関係者の皆さんに心から感謝しています。願わくは, この歴史的な出来事が私たちの神聖な伝統を思い起こさせるものとなるよう, イエス・キリストのみ名によってお祈り致します。アーメン。

