とうとうコロナに罹患してしまいました。39・5度以上の高熱、身をよじるような激しい咳で自分の身体が吹き飛びそうです。

一人暮らしなので、高熱でも万事自分でやるしかなく。食糧は元同僚に調達してもらいましたが、喉痛で飲料も通らない。

足の爪先までの孤独。

◎京都御苑 近衛邸跡の糸桜

3月26日

3月30日

 

 

 

 

 

◎京都府立植物園の早春の花々(3月上旬)小さき花・椿・遅咲きの梅

節分草

 

雪割いちげ

 

馬酔木

 

 

菊冬至

 

桃色雪中花

 

春曙光

 

座論梅

 

内裏

 

 

月宮殿

 

 

お題

「今も見て なかなか袖を 朽すかな 垣ほ荒れにし 大和なでしこ」(源氏物語・葵)六条御息所をめぐる歌⑥

 

枯れたる下草の中に、竜胆、撫子などの咲き出でたるを折らせたまひて、中将の立ちたまひぬる後に、若君の御乳母の宰相の君して、

 「草枯れの まがきに残る なでしこを 別れし秋の かたみとぞ見る
匂ひ劣りてや御覧ぜらるらむ」と聞こえたまへり。げに何心なき御笑顔ぞいみじううつくしき。宮は、吹く風につけてだに木の葉よりけにもろき御涙は、まして、取りあへたまはず。

 今も見て なかなか袖を 朽すかな 垣ほ荒れにし 大和なでしこ

・・・植え込みの枯れている下草の中に、竜胆、撫子などが咲き出したのを折らせなさって、中将の立ち去りなさった後に、若君の御乳母の宰相の君を通じて、

 「草枯れの まがきに残る なでしこを 別れし秋の かたみとぞ見る

(若君は、あなたの娘より)美しさが劣っているとご覧になっているでしょうか」と(大宮=葵の上の母)に申し上げなさった。本当に若君の無心な御笑顔はたいそう可愛らしい。大宮は、吹く風につけてさえ、風に落ちる木の葉より実にもっとたやすく涙を落としているので、源氏の手紙を手に取ることはまして出来かねている。

 今も見て なかなか袖を 朽すかな 垣ほ荒れにし 大和なでしこ

 

植え込みの撫子に若君を重ね、若君を巡る歌を、源氏と大宮で詠む。大宮はとめどなく泣き続けている。

 

撫子図(尾形乾山筆)

◎和歌を取り出す。

源氏の歌

☆草枯れの まがきに残る なでしこを 別れし秋の かたみとぞ見る

・・・草の枯れた垣根に残る撫子――若君――を、別れた秋――亡き妻――の形見と見ることです。・・・

①「草枯れ」・・・秋の終わりを示す。

『後拾遺集』

「1132 うちむれし こまもおとせぬ 秋ののは くさかれゆけど みる人もなし」

②「なでしこ」・・・「撫でし子」との掛詞になり、「かわいい子」の意。当該歌では「若君」(=夕霧)を指す。

『後撰集』

「183 ふた葉より わがしめゆひし なでしこの 花のさかりを 人にをらすな」

『源氏物語』

「14 山がつの 垣ほ荒るとも をりをりに あはれはかけよ 撫子の露」

③「別れし秋」・・・秋に死別した葵の上を指す。

④「なでしこ」を「形見」と見る。

『夫木和歌集』

「3463 なでしこの 花咲きにけり なき人の 恋しき時の よきかたみ草」

 

 

大宮の歌

☆今も見て なかなか袖を 朽すかな 垣ほ荒れにし 大和なでしこ

・・・今も撫子――若君――を見て、かえって涙に袖を腐らすほどです。垣根が荒れてしまいました撫子ですので――母親が亡くなってしまいました若君ですので――。・・・

①以下の歌に拠る。

『古今集』

「695 あなこひし 今も見てしか 山がつの かきほにさける 山となでしこ

②「袖を朽す」・・・袖を腐らせるくらい涙を流す。

『拾遺集 

「675 君はただ 袖ばかりをや くたすらん 逢ふには身をも かふとこそきけ」

 

若君の存在を死別した妻の形見に見て、少し救われる感の源氏に対し、大宮は若宮を見るとかえって涙が滂沱と出てしまうと詠む。母親を亡くした可哀想な赤子だと思うからである。

 

おまけ

 

医大プロジェクトチームの研究に参加して下さった被験者の皆様のご尽力と、

ネンタ医師の困っている患者様を何とかして救いたいという熱意と、

被験者様に集まっていただこうとして開設したこの拙ブログの存在も少しばかり貢献して実現した論文

 

国際科学雑誌 「PLOS ONE 」の論文

「Brain Regions Responsible for Tinnitus Distress and Loudness: A Resting-State fMRI Study」

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0067778

 

二報目

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0137291

  sofashiroihana