フランの部屋 第0回「まさかの俺が幻想入り(前編)」 | 東方自伝録


ここは幻想卿に在る吸血鬼の館。
幻想卿に住む人々からは「紅魔館」と呼ばれ、恐れられている。
その館には、魔法使いを始め、メイド長や、「紅」の名前を持つ高位の吸血鬼姉妹が住んでいた。
その吸血鬼の名は、レミリア・スカーレット。
「永遠に紅い幼き月」という二つ名を持つ紅の吸血鬼である。
そして、彼女の妹であり、「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」を持つ最強の吸血鬼。
その名は、フランドール・スカーレット。
「悪魔の妹」という二つ名を持つ紅の吸血鬼である。
この吸血鬼たちが住む館にある命知らずの男が一人、やってきた。
これは、とある吸血鬼ととある命知らずの男が始める文章だけのラジオ番組である。


――紅魔館、門前にて


??「ふぅむ」
??「な、なんですか?」


紅魔館の門の前に、ある男と妖怪が佇んでいた。
男は、黒のパーカーに白のTシャツと黒のジーンズを身に纏っていた。
そして妖怪は、中華風のドレスを身に纏っていた。
その妖怪の名は、紅美鈴(ホン メイリン)。
紅魔館の門番兼庭師である。


??「門番が居眠りしてないとは……」
美鈴「わ、私だってたまには起きてますよ!」
??(たまにはっておいおい)
美鈴「だいたい貴方は誰なんですか?どうやら外界の人間のようですが……」
??「ああ、外の世界の人間だ。中国」
美鈴「私は中国ではないです!! ちゃんと私には紅美鈴って名前があるんですよ!」
??「知ってる。わざとだ」
美鈴「あなたなかなかの根性をしてますね」
??「皆からよく言われるな」
美鈴「それで、話を戻しますけど、貴方は何者なんですか? 私のことを知っているということはここがどこか分かってるようですし……。何の目的でここに来たんですか?」
??「ああ。そういや自己紹介が遅れたな。俺の名はケルベロスだ。るみゃらじでのRN(ラジオネーム)はゼロだ。ゼロって呼んでくれ。決してギアスを使う仮面の男のことじゃないから」
美鈴「はぁ……それで何の目的なのですか? ゼロさん」
ゼロ「ここの館の主、レミリア・スカーレットに用がある、と言ったらどうする?」
美鈴「……貴方みたいな人間を通すわけには行きませんね」
ゼロ「そう言うと思った。んじゃどうする? 力ずくで止めてみせるか?」
美鈴「いいでしょう。伊達に門番をやってはいませんからね。いくら人間相手でも手加減はしませんよ?」
ゼロ「上等だ。掛かって来い……」


??『――幻世「ザ・ワールド」――』


そのスペルカードが発動した瞬間、突如世界が時を進めるのを止めた。
そして、その者だけの世界が始まる。
これが、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜(いざよい さくや)の力なのである。
そして時が動き出したとき、死が訪れる。


美鈴「え……ぐわっ!?」


瞬きひとつしていないのに、何故か美鈴の頭に銀色のナイフが数本突き刺さっていた。


ゼロ「……!? この能力は……」
咲夜「私ですよ」
ゼロ「やはり貴女でしたか。紅魔館のメイド長、十六夜咲夜さん」
咲夜「貴方が八雲紫様が推薦していらした外界の人間ですね」
ゼロ「そうです」
咲夜「ではこちらにいらしてください。お嬢様にもお会いになるのでしょう?」
ゼロ「そうですね。これから世話になるので、一度簡単に自己紹介を済ませておきたいですからね」
咲夜「分かりました」
ゼロ「そぅだ。美鈴。ちょっと頼みごとがあるんだが」
美鈴「…………」
ゼロ「(つんつん)返事が無い。ただの屍のようだ」
咲夜「では行きましょう」
ゼロ「ああ、はい。(こいつほっといて大丈夫なのか?)」


――紅魔館、客間にて


そこは、客間というには素っ気無いほどの部屋であった。
家具という物がほとんど無く、ソファーに机だけというなんともシンプルな部屋であった。


咲夜「こちらでおくつろぎください。すぐにお嬢様を呼んできますので」
ゼロ「はい」


咲夜がこちらに一礼をし、ドアを開け立ち去った。
ドアの閉まる音が聞こえ、緊張続きだった身体をようやく休めることができたのだった。


ゼロ「ふぅー……」
咲夜「お待たせいたしました」
ゼロ「はやっ!?」
咲夜「メイドたる者、常にお客様を退屈させてはいけないのです」
ゼロ「そうなんすか……(ザ・ワールド使ったな、絶対)」
咲夜「ではお嬢様、どうぞ」


咲夜の言葉で姿を現したのは、一人の少女であった。
その容姿もそうなのだが、特に目についたのが背中に生えている羽である。
その羽を見ることで、この子が吸血鬼なのだと理解することは容易なことであった。


ゼロ  (この子が、紅魔館の主、レミリア・スカーレットか)
レミリア「貴方が紫の言っていた人間?」
ゼロ  「そうです」
レミリア「…………」
ゼロ  「…………」


殺伐とした空気が流れる中、御互いに警戒態勢にはいる。
最初に言葉を発したのは、レミリアであった。


レミリア「……なるほどね。確かに人間の中では、なかなかの身体能力を持っているみたいね」
ゼロ  「どうも」
レミリア「でも本当に役に立つのかしら、咲夜」
咲夜  「はい、お嬢様。妹様の家庭教師としてはうってつけの人物です」
レミリア「……そう。貴方の名は?」
ゼロ  「ゼロと言います。以後お見知りおきを。(やっべー、流石は紅魔館の主。カリスマが溢れてるぜ)」
レミリア「ふぅん。まぁいいわ。咲夜、ゼロを地下室へ」
咲夜  「分かりました、お嬢様」
ゼロ  (……やっと、フランに会えるぜ! 俺歓喜! 今ならフランに殺されても笑顔であの世へ逝けるぜ!)
咲夜  「では、ゼロ。こちらへ」
ゼロ  「分かりました」


――紅魔館、地下室にて


咲夜「では、後は宜しくお願いします」


そう言い残し、咲夜は元来た道へと歩いていった。


ゼロ(さぁて、この扉の向こうに、フランがいるんだな)
ゼロ(フランは俺の嫁とか公言してる割には、未だにEXステージまで行けてないんだよな)
ゼロ(これってズルじゃ……まぁいいか。作家補正だし)
ゼロ「よっと……! 意外に重いな……。流石はフランの部屋の扉ということか」


その重々しい鉄の扉を開き、恐る恐る部屋の中へと入っていった。
部屋に入った瞬間、鉄臭いにおいが漂ってきた。


ゼロ(これは……血の臭い?)


恐る恐る歩みを進め、部屋の中へと入っていくと、一人の少女が椅子の上に座っていた。
金髪の髪に、特徴のある羽。そして背筋を凍らせるほどの殺気。
悪魔の妹、フランドール・スカーレットの姿がそこにあった。


ゼロ (彼女が、フランドール・スカーレット。すっげぇ生だぜ生)
フラン「……? あなたは誰?」
ゼロ 「ああ、失礼。申し遅れました。俺の名はゼロ。今日から貴女の家庭教師になった男です」



~あとがき~


やってしまった。今は後悔していない。反省もしていない。


なんか前振りもあまりなくやってしまった。

しかも俺も登場しちゃったよw

でもあくまで主人公はフランドールなのでそこんとこよろしく。


タイトルは「フランの部屋」です。

この小説は息抜き程度に書くつもりなので、メインではありません。

だから更新不定期。サーセンww



とりあえず、ラジオ番組形式で進めていく予定(第1回から)

だから、次の後編で、それについて詳しく説明するつもりの予定。



続け! ……ばいいなぁ。俺の気力的に